研究概要 |
(1)2週齢マウス卵巣内におけるCOX-2の局在解析:マウスのタキキニン(TK) 受容体であるNK-1,-2,-3のアゴニストを卵巣組織へ投与するとCOX-2遺伝子の発現が上昇する。そこで受給者らは、卵巣組織内におけるCOX-2の作用部位を特定するため、免疫染色によりCOX-2の局在解析を行ったところ、COX-2は二次卵胞の顆粒膜細胞において強く発現していること、およびCOX-2とNK-1,-2,-3との二重免疫染色の結果から、両者はほぼ完全に共局在していることが明らかになった。 (2)COX-2阻害剤が2週齢マウスの卵胞成長に与える影響の解析:三次元培養法を用いてマウス二次卵胞にCOX-2阻害剤であるCelecoxibおよびNS-398を投与し、その影響を観察した。その結果、卵胞の成長は著しく阻害された。またCOX-1の阻害剤であるOxaprozinに卵胞成長阻害活性はなかった。 (3)2週齢マウス卵巣におけるプロスタグランジン(PG)G2/PGH2の下流のPG受容体サブタイプの種類を特定:(1)、(2)の結果、マウスの卵胞成長に重要な役割を果たすことが明らかになったCOX-2は、アラキドン酸からPGG2/PGH2を生合成し、さらにPGH2から各組織特異的なPGサブタイプ合成酵素が5種類のPGサブタイプを生合成する。マウスには8種類のPG受容体サブタイプが存在するが、2週齢マウスにおける卵巣での発現プロファイルは不明である。そこで受給者らは、RT-PCR法によりPG合成酵素や受容体サブタイプの遺伝子発現解析を行った。その結果、2週齢マウスPGE2,PGF2α,PGI2の合成酵素遺伝子、およびPGE受容体であるEP2,EP4とPGF受容体であるFP遺伝子の発現が明らかになった。また、(3)で発現が明らかになった各PG受容体アンタゴニスト投与時などのマイクロアレイ解析を行った。
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