研究課題
精子形成と配偶子細胞のRNA干渉作用に働く「アルゴノート2タンパク質(Ago2)」のラット精巣内の局在を形態学的に解明した。抗Ago2抗体を用いて免疫染色を行うと、Ago2は、精巣特有のオルガネラ「ヌアージュ」の以下の4種の構造、1) irregularly shaped perinuclear granules (ISPG), 2) intermitochondrial cement (IMC), 3) satellite bodies (SB), 4) chromatoid bodies (CB) に局在が観察された。加えて、Ago2は、転写因子の抑制に働くMAELタンパク質、トランスポゾンに対して保護をするMIWIタンパク質と上記構造物内で共局在していることが蛍光顕微鏡と免疫電子顕微鏡技術を用いて観察できた。この結果、Ago2は、RNAと調節タンパク質との複合体(RISC)と結合し、RNA転写を抑制して、精子形成に働く重要な分子であることが形態学的に示せた。Ago2は、精子の発生段階の後期に出現し、CB近傍の小胞に分布することが免疫電子顕微鏡の観察から判明し、これはヌアージュを構成した他のタンパク質と異なる特徴的な局在と言えた。CB近傍の小胞には、リソソーム膜タンパク質LAMP2、リソソーム由来プロテアーゼのカテプシンD・Hが含まれ、Ago2とLAMP2との共局在が観察された。一方、ISPG, IMC, SBの構造では観察されなかったことから、Ago2は、ヌアージュ全域でRNAの転写を調節する一方、後期CBではリソソーム分解経路にも関与している可能性が新たに示唆された。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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