研究課題
若手研究(B)
海産クリプト藻Pyrenomonas helgolandiiにおいて、これまで同定されている4つのトリコシスト関連タンパク質(PheTri1, 2, 3-1, 3-2)に加え、新たにPheTri4, 5, 6のアミノ酸配列を決定した。ホモロジーサーベイの結果、これらの配列もまた、Caedobacter taeniospiralisのR-body構成タンパク質RebBと相同性を示した。バクテリアゲノム、バクテリオファージおよびプラスミドゲノムのデータベースを利用し、広範囲なホモロジーサーベイおよびHMMサーチを行った結果、クリプト藻におけるリボン構造は、C. taeniospiralisのプラスミドゲノムに起源することが明らかになった。クリプト藻とは系統を大きく異にする、Pyramimonas parkeae(Prasinophyceae)はまた、ロール状のリボン構造を含むオルガネラを有する。クリプト藻のリボン構造との類縁関係を検証する目的で、P. parkeaeのリボン構造の単離精製系を確立した。精製分画のTricine-SDS-PAGE解析は、P. parkeaeのリボン構造が分子量2,000~5,000の低分子ペプチドから成ることが示唆され、クリプト藻のリボン構造とは、分子構造を大きく異にすることが示唆された。また、P. parkeaeのリボン構造は、DAPIやトルイジンブルーにより強く染色されることから、P. parkeaeのリボン構造は、強く負に帯電することが予測され、アルギニン酸やグルタミン酸を多く含むことが示唆された。クリプト藻におけるトリコシストの膜構造を解析する目的で、トリコシストの無傷単離系を確立した。
3: やや遅れている
海産クリプト藻Pyrenomonas helgolandiiにおけるトリコシスト関連タンパク質の起源解析およびトリコシスト膜構造解析に先がけた無傷単離系の確立については、ほぼ計画通り進行している。特異抗体を用いた生化学的解析については、対象のタンパク質の抗原性に難があり、やや遅れている。
無傷トリコシスト分画について、界面活性剤により膜分画を精製し、キャピラリー電気泳動質量分析(CE-MS)により、トリコシスト膜タンパク質の網羅的解析を行う。クリプト藻Guillardia theta (CCMP2712)のゲノムデータベース(ドラフト)を利用し、タンパク質の同定を行い、膜構造を検証する。ゾウリムシ寄生細菌C. taeniospiralisのゲノムドラフト配列解析によるゲノム移行遺伝子の解析クリプト藻トリコシストが細胞内共生起源のオルガネラであるとすれば、トリコシスト関連遺伝子以外にクリプト藻ゲノム内に他の移行遺伝子が存在する可能性は高いと考えられる。本研究では、トリコシスト構成遺伝子の相同性からクリプト藻に共生した可能性が高いと考えられるC. taeniospiralisのゲノムドラフト解析を行い、クリプト藻Guillardia theta (CCMP2712)ゲノム(ドラフト)との比較解析により、宿主への移行遺伝子の探索を行う。C. taeniospiralisは、free-livingの細菌ではないので、宿主であるゾウリムシを培養、破砕後、密度勾配法により単離・回収する。この単離法はすでにSchmidt et al. (1988)により確立されており、本研究でもこの方法に従いC. taeniospiralisの単離を行う。細菌ゲノムDNAから次世代シークエンサー(GS FLX)を用いて180Mb程度のフラグメント解析を行う。アセンブル後、Guillardia theta (CCMP2712)のゲノムとの比較解析により、宿主側への移行遺伝子の探索を行う。
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Journal of Phycology
巻: 未定 ページ: 未定
10.1111/jpy.12190
Energy & Environmental Science
巻: 6 ページ: 1844-1849
10.1039/c3ee40305j