研究実績の概要 |
海産クリプト藻Pyrenomonas helgolandiiにおいて、これまで同定されている4つのトリコシスト関連タンパク質(PheTri1, 2, 3-1, 3-2)のうち、PheTri3-1についてポリクローナル抗体を作製した。間接蛍光抗体法により、本抗体が、クリプト藻のトリコシストを高い特異性でディテクトできることを明らかにした。 本抗体を用い、トリコシストの細胞分裂周期における挙動および輸送経路を解析する目的で、P. helgolandiiにおける細胞分裂同調系を確立した。 プラシノ藻の一部では,クリプト藻が有するトリコシストに類似したロール状のリボン様構造が観察される。リボン様構造精製分画のTricine-SDS-PAGE解析から,リボン様構造は分子量13 kDa~17.5 kDaの複数のタンパク質とトルイジンブルーによって染色される分子量約1.7 kDa~4.6 kDaの複数の低分子酸性多糖物質から成ることが予測された。検出されたタンパク質のN末端解析およびウェスタン解析は,これらがコアヒストン(histone H3, H2A, H2B, H4)であることを明らかにした。免疫染色による局在解析は,明らかに,コアヒストンがリボン様構造に局在することを明らかにした。また,リボン様構造の単糖組成分析およびlysozymeによる分解特性から,リボン様構造がβ(1-4) 結合のN-acetyl-glucosamineを含む多糖から成ることを明らかにした。さらに,この多糖とリコンビナント8量体コアヒストンを用いたin vitroでの再構築実験から,コアヒストンがリボン様構造の重要な構成タンパク質であることを明らかにした(論文投稿中)。
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