タンガニイカ湖に生息するカワスズメ科魚類(以下シクリッド)は多様な生殖行動を示す。この多様な生殖行動に付随して、受精様式も変化した。この受精様式に適応するように精液に含まれる精しょうタンパク質SPP120は進化した。本課題において、受精行動を3つのタイプ(基質受精、口内受精、貯蓄受精)にクラス分けし、それぞれの受精様式におけるSPP120のコドンサイトでの正の選択の違い、SPP120の糖鎖の付加、SPP120の機能解析を行った結果、SPP120は精子の運動抑制および凝集化に寄与し糖鎖付加が起きていることが判明した。これは口内受精行動の出現に相関しているため、この様式に適した形質であると言える。
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