研究課題
若手研究(B)
本研究は、原始的真菌類の一群であるツボカビ類の生活環・感染様式を詳細に観察し、その進化を明らかにすることを目的とする。明視野・ 蛍光ライブイメージングによりツボカビ類の生活環を明らかにし、藻類への感染過程における宿主の認識や感染様式、さらに宿主細胞内のツボカビ類の動態を電子顕微鏡レベルで詳細に観察することで、原始的菌類における細胞体制や感染様式の進化を解明する。初年度はツボカビ類のカルチャーコレクションの収集とその継代維持培養系の確立について重点的に取り組んだ。アメリカタイプカルチャーコレクション(ATCC)よりツボカビ類3種(Terramyces subanglosum ATCC-MYA-4067, Chytriomyces hyalinus ATCC-28165, Allomyces javanicus ATCC-10984)を分譲してもらい、まずそれらの基本的な体制・生活環を光学顕微鏡により観察した。特にChytriomyces hyalinusについては、遊走子の放出条件を詳細に検討し、生活環の基本的な部分についてはライブイメージングを行った。現在は特に菌類・藻類が共存できる二員培養系のための条件検討や、長時間のライブイメージングで用いる培養器の最適化を進めている段階である。今後はその確立した培養系を用いてライブイメージングや透過型電子顕微鏡データの取得に取り組みたい。
3: やや遅れている
アメリカタイプカルチャーコレクション(ATCC)よりツボカビ株の分譲(輸入)手続きに予想以上に時間がかかってしまったことに加えて、分譲株のひとつ(Terramyces subanglosum MYA-4067)は、もともとコンタミネーションがあり、再分譲を受けるのに数ヶ月を要した。ツボカビの収集についてはほぼ計画通りであるが、株の調達に時間がかかった分観察が遅れているので、やや遅れていると判断した。
ツボカビの継代培養系、藻類との二員培養系が確立しているため、今年度はその系を用いて計画通り、ライブイメージングや透過型電子顕微鏡観察を進める予定である。またレクチンの分布など、ツボカビだけで実験・観察ができる系も用いて確実なデータ取得を目指す。
論文投稿料、英文校閲料、旅費等については予算よりも使用額が少なかったため。また、顕微鏡に関わる物品費についても想定した予算より使用額が少なかったため。論文投稿料・英文校閲料については、平成25年度分繰越分を含めて予算どおりに使用できるものと考えている。物品費(消耗品)に関しては、平成26年度で300千円を計上している。平成25年度分繰越分を合わせて、500千円を消耗品に関して使う予定である。内訳は、顕微鏡関連消耗品に150千円、プラスチック消耗品に150千円、試薬類に200千円である。
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