研究課題
本研究は原始的真菌類の一群であるツボカビ類の生活環や微細藻類等への感染様式を詳細に観察し、その多様性や進化を明らかにすることを目的とした。ATCCカルチャーコレクションより選定したツボカビ種3株(Terramyces subangulosum, Chytriomyces hyalinus, Allomyces macrogynus)について、タイムラプス顕微鏡による生活環の詳細な観察のほか、レクチン(WGA:Wheat Germ Agglutinin)を用いた蛍光顕微鏡観察を行い、生活環の各ステージにおける細胞表面の糖鎖分布について詳しく調べた。C. hyalinusについては、生活環の各ステージにおけるWGA結合部位について、研究をまとめ論文として発表した(Ota et al. 2015, Cytologia)。ツボカビ類の遊走子嚢あるいは配偶子嚢から遊走子/配偶子が放出されるタイミングを調べたところ、ツボカビ種によって全く異なっていることが明らかとなり、種レベルに特有な特徴であることが予想された。本課題で用いた藻類種であるHaematococcus lacustris(ヘマトコッカス藻)は屋外培養でツボカビ感染による被害が報告されている(Hoffman et al. 2008, Mycol. Res.)。本研究でレクチン(WGA)染色による顕微鏡観察をしたところ、ヘマトコッカス藻はWGA染色されないが、一方、ツボカビはWGA染色されることがわかった。この染色の違いは、将来的に屋外培養のコンタミネーションのモニタリングなどにも応用できる可能性がある。さらに、本課題の研究の過程で、ヘマトコッカス藻の学名が混乱している問題にも取り組み、シノニムリストを整理しエピタイプ指定を行うことで学名の安定化を図った (Nakada and Ota 2016, Taxon)。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件)
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