研究課題
本研究は、被子植物の中で最も多様化した分類群の一つとされるカヤツリグサ科スゲ属植物の原始的な種群であるタガネソウ節(Carex section Siderostuctae)について、生態学的、形態学的、細胞学的、遺伝学的手法を用いて、生活史特性を把握し、どのように多様化してきたのかを明らかにすることを目的とする。平成27年度は、研究材料の収集のための野外調査を中国浙江省、安徽省、江蘇省で研究協力者とともに実施した。現地では、形態学的解析用標本、細胞遺伝学的解析用サンプル、分子系統学的解析用サンプルを採集した。その後、これらのサンプルを用いて外部形態の比較、染色体数の算定、DNA塩基配列を決定し、これまでのデータと合わせて解析した。その結果、風媒花がほとんどのスゲ属において、原始的な種群の一部に虫媒花があることが新たにわかった(Yano et al. 2015)。また、外部部形態学的にスゲ属タガネソウ節に含まれていた1種が、DNA解析から異なるクレードに含まれることがわかり、外部形態を検討したところ、タガネソウ節と異なる形態を示すことがわかった(矢野他 2016)。さらに、DNA解析領域を増やして解析したが、タガネソウ節クレード内の関係性は解像度が低いままであり、さらなる解析が必要であると考えられた (矢野他 2016)。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 5件、 査読あり 6件、 謝辞記載あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
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http://www.big.ous.ac.jp/~yano/index.html