南太平洋諸島に生育する海流散布植物オオハマボウの内陸-海岸集団の形態・遺伝的特徴を明らかにすることで、海洋島における海流散布植物の内陸適応の過程を解明することを目的とした。形態解析の結果、内陸集団の花は柱頭から雄ずい群まで距離が著しく短くなっており、自殖を促進するような形になっていた。分子系統学的解析の結果、オオハマボウは小笠原、タヒチ、マルケサス諸島の3箇所で独立に内陸適応を遂げたことが明らかとなった。また、南太平洋諸島の内陸集団と海岸集団の間では顕著な遺伝的分化は見られなかった。以上の結果は、オオハマボウが自動自家受粉を獲得しながら急速に内陸環境に適応した可能性を示唆された。
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