研究課題
本年度は,サンプリングおよび系統解析が不十分であったサワヨコエビ属Sternomoeraおよび地下水性のメクラヨコエビ属Pseudocrangonyxの調査・解析を重点的に行った.サワヨコエビ属の系統解析には,遺伝子領域をこれまで解析に用いていた核28S rRNAの部分塩基配列に加えて,ミトコンドリアのCOI遺伝子部分配列を用いた.その結果,タキヨコエビは北海道と本州以南の系統に,ヤマトヨコエビは本州東北地方と本州西部の系統に分かれることが明らかになった.また,エゾヨコエビは,種内に遺伝的に大きく分化した4系統が存在することが明らかになった.メクラヨコエビ属は西日本の洞窟を中心に採集を行い,ミトコンドリアの16S rRNAおよび核の28S rRNA遺伝子の部分配列を用いて分子系統解析を行った.その結果,「四国(高知県・香川県・愛媛県)+島根県」のシコクメクラヨコエビが単系統となる一方,四国の個体群は単系統とはならないことが明らかになった.また,エゾメクラヨコエビは北海道と秋田県の個体群で遺伝的分化が比較的小さいことが明らかになった.これまで限られた地域から得られた標本を解析したのみであるが,本研究により,複数の未記載種が存在することが明らかになった.メクラヨコエビ属は種分類レベルで分類学的な混乱が生じているため,今後は既知種のタイプ産地から得られた標本を含む系統解析を行うとともに,形態形質の再検討を行う必要がある.
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Species Diversity
巻: 21 ページ: 印刷中
Crustaceana
巻: 89 ページ: 印刷中
Journal of Natural History
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1080/00222933.2016.1155779
Zookeys
巻: 530 ページ: 15, 36
10.3897/zookeys.530.6063