近年の環境変動や撹乱により個体群の減少が危惧される南西諸島の造礁サンゴについて、DNAマーカーを用いた分子系統解析と集団遺伝学的解析により、種多様性、遺伝的多様性、集団遺伝構造を評価した。さらに、遺伝子型から地点内での種の分布や繁殖特性を評価した。対象としたアザミサンゴ属、トゲサンゴ属、ハナヤサイサンゴ属において隠蔽種の存在が明らかとなった。さらに、遺伝的多様性と地点間遺伝的分化は属により異なり、有性生殖様式の違いや生息数などが影響している可能性がある。同じ種でも地点毎に繁殖特性が異なり、個体群形成時期や局所環境などが個体群の遺伝的構成に影響していると考えられる。
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