研究課題/領域番号 |
25840153
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
土岐 和多瑠 京都大学, 生態学研究センター, 研究員 (50611406)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 共生 / ニホンホホビロコメツキモドキ / 酵母 / 非社会性昆虫 |
研究概要 |
ニホンホホビロコメツキモドキ-酵母栽培共生系を深く理解するため、(1)酵母の増殖に幼虫が及ぼす影響、(2)非共生菌に対する幼虫の応答、(3)幼虫の成長に対する非共生菌の影響、(4)酵母の増殖に対する非共生菌の影響を調べた。その結果、(1)幼虫は竹の中で積極的かつ広範囲に酵母を拡げ、菌園を迅速に創設した。(2)幼虫は、非共生菌を摂食したが、食べつくすことは見られなかった。(3)非共生菌を餌として飼育した場合、酵母を餌として飼育した場合と比べ、幼虫の成長は悪く、体サイズの小さな成虫が羽化する傾向が見られた。(4)酵母と非共生菌を同じ培地で培養した場合、非共生菌の増殖が酵母よりも圧倒的に速く、培地の大部分を覆ったのに対し、酵母の増殖は妨げられ、狭い範囲に限定された。これらの結果から、非共生菌は、酵母に対しても、ニホンホホビロコメツキモドキ幼虫に対しても負の影響を与える害菌であること、幼虫不在下では非共生菌が蔓延してしまうこと、幼虫単独では非共生菌を駆除できないことが示唆された。これらの結果の一部について、論文として公表し、学会発表を行った。 コメツキモドキ族の系統関係及び栽培共生の進化に関して、国内外でサンプリングと生態調査を行った。国内では、鹿児島県奄美大島と沖縄県石垣島にて、それぞれオオシマコメツキモドキとセダカヒメコメツキモドキの生態を調査した。国外では台湾各地でフィールド調査を行い、コメツキモドキ数種をサンプリングし、生態調査を行った。サンプリングできた個体数が少なかったため、再調査を計画中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ニホンホホビロコメツキモドキ-酵母共生系における栽培共生の程度の解明に関しては、研究実績の概要に挙げたように順調に成果を上げられている。コメツキモドキ族の系統関係の解明や、栽培共生の進化に関しては、海外調査許可を調査適期に得られなかったため、サンプリングが予定よりはかどらなかった。
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今後の研究の推進方策 |
ニホンホホビロコメツキモドキの害菌対策をより詳細に調べる。コメツキモドキ族の系統関係の解明がやや予定より遅れているため、より重点的に行う。
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