研究課題/領域番号 |
25840155
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
吉山 浩平 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 助教 (90402750)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 植物プランクトン / 底生藻類 / 数理モデル / 鉛直分布 / 群集構造 / 進化適応動態 |
研究概要 |
1. 植物プランクトン進化適応動態モデルを用いた多様性創出メカニズムの解明に関して,Ocean Science Meeting 2014にて発表を行うとともに,共同研究者であるChris Klausmeier・ミシガン州立大学准教授と打ち合わせを行い論文投稿の最終段階に入った.また,Sze-Bi Hsu・台湾国立清華大学教授を3週間訪れ,新しい植物プランクトン進化動態モデルを構築し解析した. 2. 琵琶湖における植物プランクトン群集鉛直分布データを用いた,群集空間構造に関する統計解析を開始した.出現藻類の機能的形質を検討するとともに,関連する既存研究の調査を行った. 3. 底生藻類マットを記述する鉛直層構造形成モデルに関して,新たにソフトウェアパッケージ「FlexPDE」を導入し,数値計算の効率化,安定化を図った. 4. 本研究テーマから波及する研究として,農地における土壌塩分量鉛直分布パターンの解析を行い,責任著者として論文を発表した.また,河口域栄養塩量の空間分布の解析を行い,Ocean Science Meeting 2014にて発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. 鉛直一次元空間上における植物プランクトン多様性創出メカニズムに関する論文は,予定通り投稿される見通しである.また,Sze-Bi Hsu教授と共同で,1) 強光阻害条件下における鉛直分布パターン形成,2) 植物プランクトンの2種の資源利用に関する進化モデル,3) 光の波長の違いを考慮した光競争モデル,といった新たな研究プロジェクトを開始した. 2. 植物プランクトンの機能的形質として,Beisner and Longhi (2013)を参考に,1) 窒素固定能,2) ケイ素要求生,3) 混合栄養か,4) 細胞サイズ,5) 色素組成,6) コロニー形成,7) 遊泳性,の7項目を文献データ及び出現種に関して決定することができた. 3. 底生藻類マットモデルは,移動境界問題として記述され,通常の固定境界の場合と異なる手法が用いられる.これまで直接記述する方法では安定した解が得られなかったが,上記のソフトウェアパッケージを導入することで,数値解を得ることに成功した. 4. 研究課題から波及したテーマに関して,成果を発表することができた(上記).
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今後の研究の推進方策 |
1. 昨年度から新たに開始した研究テーマに関して,Sze-Bi教授との共同研究を継続する. 2. 琵琶湖における植物プランクトンの出現パターン(季節・鉛直分布)とそれぞれの機能的形質,湖の物理条件の関連性を統計解析により明らかにして成果をまとめ,今年度の学会において発表を行う. 3. 底生藻類マットモデルに関する数理・数値解析の結果をまとめ,国際誌に投稿する. 4. 派生した研究課題である,河口域栄養塩量の空間分布の解析結果をLimnology and Oceanography誌に投稿する.
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次年度の研究費の使用計画 |
要求額に対する減額のため,予定していた台湾・アメリカへの出張が困難かと思われたが,講義を行うという条件で台湾における滞在費が先方により負担されたため,逆に次年度使用額が生じた. 次年度使用額は琵琶湖における植物プランクトン鉛直分布データの統計解析を行う上で必要となる人件費に充てる予定である.
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