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2014 年度 実施状況報告書

迅速な適応を可能にする遺伝子変異の由来の判定

研究課題

研究課題/領域番号 25840161
研究機関玉川大学

研究代表者

三村 真紀子  玉川大学, 農学部, 准教授 (60451689)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード分布域 / 気候変動 / RADseq / ゲノムスキャン / 相互移植実験
研究実績の概要

幅広い分布域を獲得するメカニズムの解明を目的として、本年度は、日本各地に分布するRubus palmatusのRADseqと相互移植実験の素材育成を行った。Rubus palmatusの3つの変種(ナガバモミジイチゴ、モミジイチゴ、ヤクシマキイチゴ)を含む計9集団計96個体を全国から採取し、多検体変異解析のためRADseqを行った。493遺伝子座に基づくSTRUCTURE解析では、おおむね2つのクラスターに分かれ、その分岐地点は中部地方であった。ナガバモミジイチゴとモミジイチゴの図鑑分布情報(それぞれ関東以西と関東以北)よりも西側に位置したものの、西日本と東日本に分かれることはほぼ一致した。一方、相互移植実験用の計60個体(東北20個体、南関東20個体、南九州20個体)からは計11,051個の一塩基置換(SNPs)が得られた。Bayescanによりゲノムスキャンを行ったところ、計9SNPsが3集団間で分断化選択を受けていると判定された。これらのうち幾つかの変異は、全9集団で解析した線形モデル(緯度や気象情報を説明変数とした)より有意と判定された変異と一致した。本年度はさらにplatanusを用いてドラフトゲノムのアセンブリの改善を行った。前年度に使用したALLPATHS-LGに比べ、N50がおおよそ倍(415kbp)となった。相互移植実験では、クローン株の育成がおおむね完了し、今春各地に移植する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

分子実験に関しては、多検体シーケンスも順調に進んでおり、リファレンスの整備も想定していたよりも進んでいる。ほ場実験に関しては、形態データの収集が進んでおり、株分けによる同一遺伝子型個体も安定して生産できている。計画はおおむね予定どおりに進行していると言える。

今後の研究の推進方策

最終年度は得られつつあるデータの収集と解析を進め、日本の南北に分布域をもつ遺伝的基盤をゲノムワイド解析と移植実験にもとづく形質データとのアソシエーション解析から明らかにしていく。RADseqについては、より多くのデータを収集するため、HiSeq2000を用いて再ランを行い、本年度に得られたデータと統合し、新しくアセンブルされたリファレンスゲノムにマッピングし、より精度の高いデータを収集、解析する。

次年度使用額が生じた理由

本年度計画していたRADseqのライブラリ作製および次世代シーケンスによるランニングコストが、共同利用機関の変更により、大幅なコスト削減となったため、今年度に余剰金が生じた。

次年度使用額の使用計画

次世代シーケンスを用いた解析で、当初、資金上の関係で断念していたサンプル数、データ量を次年度使用額で実施する。これにより、より信頼性のあるデータを取得することができ、成果につながると考える。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Range shift and introgression of the rear and leading populations in two ecologically distinct Rubus species2014

    • 著者名/発表者名
      Makiko Mimura, Misako Mishima, Martin Lascoux and Tetsukazu Yahara
    • 雑誌名

      BMC Evolutionary Biology

      巻: 14 ページ: 209

    • DOI

      10.1186/s12862-014-0209-9

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Biodiversity only makes sense in the light of evolution2014

    • 著者名/発表者名
      R Geeta, Lucia G Lohmann, Susana Magallon, Daniel P Faith, Andrew Hendry, Keith Crandall, Luc de Meester, Cam Webb, Anne-Helene Prieur-Richard, Makiko Mimura, Elena Conti, Joel Cracraft, Felix Forest, Carlos Jaramillo, Michael Donoghue, Tetsukazu Yahara
    • 雑誌名

      Journal of Biosciences

      巻: 39 ページ: 333-337

    • DOI

      10.1007/s12038-014-9427-y

    • 査読あり
  • [学会発表] 標高帯における適応的浸透交雑2015

    • 著者名/発表者名
      三村真紀子
    • 学会等名
      日本生態学会第62回全国大会
    • 発表場所
      鹿児島大学郡元キャンパス(鹿児島県)
    • 年月日
      2015-03-18 – 2015-03-22

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公開日: 2016-06-01  

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