大型種子をもつ樹木センダン科アグライアAglaia spectabilisを対象として、サイチョウ類の体内を通過した種子の発芽実験と4haの調査区内で2000年8月に個体識別を行ったアグライアの15年後の生存状況を確認し、サイチョウ類の種子散布者としての質的な有効性を評価した。サイチョウ類の体内を通過したアグライア種子は、対照区の種子より高い発芽率を示した。また当年生実生は母樹からの落下やネズミ類の二次散布よりも広範囲に分布しており、15年後の生存率は16%だった。先行研究と本研究の結果から、サイチョウ類は大型種子をもつアグライアの量的・質的に有効な種子散布者として機能していると考えられる。
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