研究課題/領域番号 |
25840164
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
舞木 昭彦 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (00626343)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 種間相互作用多様性 |
研究概要 |
生物種間相互作用の多様性の群集動態における役割についての新しい理論の構築を行った。第一に、捕食‐被食関係からなる栄養モジュールを群集としてとらえる群集研究の従来の方法を超えて、共生関係と捕食‐被食関係が結合したモジュールを一つの群集としてとらえる理論を開発した。捕食‐被食系だけの系と共生関係だけの系では、いずれも個体群動態は安定平衡に向かう場合でも、それらが結びつくと永続的な個体数振動が生じることがわかった。さらに、生物の適応的な資源利用と生物種間相互作用の多様性を同時に考慮した群集理論を開発した。植物種の共存には、送粉者のような共生種が適応的に資源を利用しているだけでは不可能であり、共生種と同時に植食者のような捕食者が適応的餌利用をしていることがそれらの系が安定に維持されるために重要であることがわかった。さらに、適応速度がはやいことが群集の維持において重要であることが従来の研究で指摘されているが、相互作用の多様性を考えると、適応速度が速いことがかえって群集を不安定化させる可能性もあることがわかった。これらの理論予測では、生物種間相互作用の多様性は群集の動態に大きな影響を与えること、従来の相互作用の種類を限定して扱った理論では、自然界の理解に至れない可能性が示唆された。今後は、これら種数の少ない単純な系を多種の系に拡張し、単純な系でのメカニズムが多種の系でも成立するか、もしくは創発現象が生じて単純な系では理解しえないメカニズムが働くかを検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複雑な生物群集の理解には、単純な系での理解がまず必要であり、その点今年は、単純な系について詳細に理解できたことがよい点である。
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今後の研究の推進方策 |
種数の少ない単純な系の理解にとどまったが、今後は多種の系に拡張し、単純な系でのメカニズムが多種の系でも成立するか、もしくは創発現象が生じて単純な系では理解しえないメカニズムが働くかを検討する必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度に、購入予定だったPC(新型のMac:90万相当)の購入が、購入申込者が非常に多かったため、前年度中に購入ができなかった。 今年は、昨年購入できな方PCを6月中には購入できる予定と聞いている。そのため、昨年度使用できなかった研究費は早い段階で使用される。その後は、当初計画した通りに、研究費は使用する予定である。
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