研究課題/領域番号 |
25840170
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
澤田 晶子 京都大学, 霊長類研究所, 研究員(研究拠点) (10646665)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ニホンザル / Macaca fuscata / 腸内細菌叢 / メタゲノム / 次世代シーケンサー |
研究概要 |
本申請研究は、ニホンザルの腸内細菌叢における形成過程および伝播メカニズムの解明を目的とする。異なる条件下のニホンザル母子を対象に、腸内細菌叢における菌種組成の解析および細菌の系統分類をおこなう。具体的な目標は、(1)母子間の類似性:垂直伝播メカニズムの解明、(2)母子分離によってもたらされる影響の評価、(3)採食内容と腸内細菌叢における関連性の検証である。 (1)および(2)については、生まれたばかりのアカンボウとその母親(4個体ずつ)の糞中の腸内細菌叢を解析し、母子間の類似度から垂直伝播の影響を評価する計画であった。しかし、実験中にアカンボウが3個体死亡してしまったため、次年度も継続してサンプリングを実施する運びとなった。また、アカンボウからのサンプリングが予想以上に困難であったことから、次年度は対象種を広げることを検討している。(3)についてはおおむね順調であり、飼育ニホンザルだけでなく、多様な食性をもつ野生ニホンザルも対象とし、食性がもたらす腸内細菌叢への影響について解析に取り組んでいる。 メタゲノム解析については、慶應義塾大学先端生命科学研究所の福田真嗣准教授のもとで、次世代シーケンサー(ロシュ社: GS Junior)を用いた腸内細菌叢解析の技術を学んだ。現在は、ランニングコストの低いMiseq(イルミナ社)に切り替え、解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
次年度も継続して糞サンプリングを実施することになった。当初から、必要数のサンプルが集められなかった場合には、サンプリングを継続することになっていたため、計画自体に大きな変更はない。しかし、母親に抱かれたまま排泄するアカンボウからの糞サンプリングは予想していた以上に困難であることから、ニホンザルに加えて、ハンドリングの容易であるコモンマーモセットでの実験も検討している。 メタゲノム解析については、京都大学・早川卓志氏の協力のもと、大変順調に進捗している。予備実験を実施したところ、質的にも量的にも十分なデータを得ることができた。研究成果は、日本生態学会第61回全国大会などで発表済みである。また、解析系をGS JuniorからMiseqに移行したことで、かかる費用を大幅に下げることに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、実験個体数を増やして糞サンプリングを実施する。それでも必要なサンプル数を確保できなかった可能性を想定し、ハンドリングの容易な霊長類(コモンマーモセット)での実験も並行して進める。対象種が変更になった場合でも、ヒト以外の霊長類種を対象に、ヒトの腸内細菌叢研究にも貢献できるようなモデルの提示するという当初の目的は達成できると考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の予定よりも実験の進捗状況がやや遅れていることもあり、使用期限の短い試薬(次世代シーケンサー用)の購入を次年度に延期した。 次世代シーケンサー解析のための試薬購入に用いる。
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