研究実績の概要 |
本研究は、人工ヌクレアーゼおよびCRISPR/Cas9システムによる正確なゲノム編集技術を利用し、栽培品種イチゴやトマトの新しい育種法への応用を図ることを目的としている。平成26年度は、CRISPR/Cas9システムを用いたトマト標的遺伝子への変異導入法の検討や、イチゴ花托の着色に関与する転写因子MYB10の機能解析などを行った。 CRISPR/Cas9システムを利用して新しい育種法を開発するために、形質転換体の作製効率の高いトマト(マイクロトム)を用い、標的遺伝子(IAA9)を切断するために必要なgRNAおよびCas9を発現するコンストラクトを作製し、アグロバクテリウムを用いたリーフディスク法により導入して発現させた。その結果、ゲノム上のトマトIAA9領域に1~3塩基の欠損変異が導入されたカルスおよびシュートが得られることがわかり、TALENを用いるより効率が高いことがわかった。これらの結果は、第56回日本植物生理学会にて報告した(演題:Establishment of the genome editing technology that targeted tomato IAA9 gene by CRISPR/Cas9 system)。また、アグロバクテリウムを介したRNAi法を用いたイチゴ花托の着色に関与する転写因子MYB10の機能解析について、研究成果をPlanta誌に報告した(Light and abscisic acid independently regulated FaMYB10 in Fragaria x ananassa fruit, PMID25534946)。また、第56回日本植物生理学会においても研究成果をポスターにて報告した(演題:Functional analyses of R2R3 MYB transcription factors in anthocyanin biosynthesis pathway of the strawberry)。
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