これまでの解析により、DREB1遺伝子をイネに導入し過剰発現させると環境ストレス耐性が向上することが明らかにされているが、同時に生育の抑制が起こり背丈の低いイネになってしまう。そこで生育を正に制御する因子の一つであるOsPIL1遺伝子の利用によってこの生育の抑制を克服することができないかと考え本研究を進めている。 平成25年度は、OsPIL1過剰発現イネとDREB1過剰発現イネそれぞれの種子を増殖後、導入遺伝子の発現量をリアルタイムRT-PCRによって調べた。その結果、どちらの過剰発現イネにおいても導入遺伝子の過剰発現が認められた。そこで、これらOsPIL1過剰発現イネとDREB1過剰発現イネの交配を行い、OsPIL1 DREB二重過剰発現イネの作出を試みた。種子を収穫後得られた種子を播種し、通常生育条件下で生育させた。ゲノムを抽出しPCRによりOsPIL1導入遺伝子とDREB導入遺伝子の存在を解析したところ、それらの存在を確認することができた。生育中の背丈を観察したところ、OsPIL1 DREB二重過剰発現イネの背丈はDREB1過剰発現イネの背丈よりも高くなり、生育抑制が改善された。交配ではなくアグロバクテリウムによる形質転換によってOsPIL1 DREB二重過剰発現イネを作出することも同時に進めている。候補ラインが8ライン得られ、ゲノムを抽出しPCRによりOsPIL1導入遺伝子とDREB導入遺伝子の存在を調べた。調べた8ライン全てにおいてそれら導入遺伝子の存在が確認された。
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