農地において最も深層まで根系を発達させる多年生雑草スギナについて、掘り取り調査によって根系による放射性物質の蓄積を明らかにした。その結果、土壌およびスギナ根系ともに深層に進むにつれて放射性セシウム濃度が低下したが、スギナの濃度低下は土壌より緩やかであり、40 - 50 cm層ではスギナは土壌と同等以上の濃度であった。スギナの放射性セシウムは同層の周囲の土壌からの経根吸収だけでなく、他の根系層から吸収、転流されたものの双方に由来すると考えられた。しかし、スギナ根系の存在量は土壌に比べてきわめて小さいため、スギナに含まれる放射性物質が周囲の土壌に与える影響はほとんどないと考えられた。
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