研究課題/領域番号 |
25850015
|
研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
下田 星児 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター・大規模畑作研究領域, 主任研究員 (80425587)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 日照時間 / オホーツク海高気圧 / 太平洋高気圧 / フェーン |
研究実績の概要 |
6~7 月は、道東では気象が秋まき小麦やバレイショの生育に与える影響が大きい時期で、湿潤な環境への変化はこれらの作物の生育を阻害する要因となる。このように気候に変化の兆しがあり、気候変動に着目した品種開発・栽培技術を検討する必要がある。 1)寡少日照試験 十勝地方は、他の地域と比較して日照時間が短い特徴があり、特に寡少日照における作物生育の検討が重要である。水稲では、穂揃い期の非構造性炭水化物が大きい場合、寡少日照と高温が重なっても収量が確保できる。止葉期の施肥など、穂数を増やさずに炭水化物蓄積量を増加させる技術により、日照不足条件下の収量確保できる可能性がある。本研究では、現行の北海道の小麦栽培品種が、寡少日照条件において収量を十分に確保できるか検討を行った。 2)統計解析 前年度に引き続き、収量と気象要素の関連について調べた。今年度は、NCEP再解析データを用いてオホーツク海高気圧と太平洋高気圧の強弱関係の年次間差を明確にし、気圧配置が小麦生育に与える影響を明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
市町村ごとに収量の気象要素への影響は、十勝地域とオホーツク地域で明瞭に区分できることが分かった。気象要素の解析により、太平洋高気圧が強く南風が卓越する場合、十勝地域には太平洋から暖かく湿った空気が流入するが、地域の境目にある大雪山から雌阿寒岳の間で雲が遮られ、オホーツク地域側ではフェーン現象が起こるため日照時間が長くなる。オホーツク地域で気温は上昇しても、日照時間が長くなると収量が増加すると考えられる。十勝地域は、風向による日照時間の変化は無く、高温は登熟期間の短縮を伴うため、より強い減収要因となる。地形が関連する現象であるため、気候によらず普遍性の高い関係性になることを発見した。 一方で栽培試験は、仮説を実証できていない。方法に検討が必要である。
|
今後の研究の推進方策 |
気象要素の解析は一定の結果が得られた。しかし、気候変動に着目した品種開発・栽培技術に向けた知見のとりまとめには、圃場試験で方向性を示す必要がある。栽培試験に焦点を当てた取り組みを加速させる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
試料の分析が2014年度に出来なかったため、非常勤職員の人件費の執行が無かった。
|
次年度使用額の使用計画 |
圃場試験の充実のために、センサーの購入費に充てる。また、2014年度に実施出来なかった試料の分析を進める。
|