研究課題
若手研究(B)
アサガオの花弁に蓄積するアントシアニン色素は、カフェ酸やグルコースが複数付加した複雑な側鎖構造を持つ。この側鎖構造はアサガオの花色発現に密接に関わっていると考えられているが、側鎖形成に関わる修飾遺伝子について不明な点が多い。そこで25年度は、アントシアニン側鎖にカフェ酸を付加するアシル基転移酵素をコードする遺伝子の候補について検索を行った。アサガオの花や葉、子葉で発現している遺伝子の中から31種類のアシル基転移酵素遺伝子を単離し塩基配列の同定を行った。続いて、個々の塩基配列情報を元にして、アサガオ花弁で、アントシアニン合成酵素遺伝子群と同様の発現制御を受けているアシル基転移酵素遺伝子の探索を行った。その結果、アシルグルコースをアシル基供与基質とするSCPLタイプに分類されるアシル基転移酵素遺伝子の一つが、MYB及びWDR転写制御遺伝子によって発現が制御されていることを明らかにした。このことは、今回単離したアシル基転移酵素遺伝子の候補が、アサガオアントシアニン色素の複雑な側鎖合成に関わっていることを示唆する。
2: おおむね順調に進展している
平成25年度の目標にしていた、アサガオにパステル調の色調を付与するdingy変異の原因になると考えられる修飾酵素遺伝子の候補をアサガオのESTライブラリーより選び出す事が出来た。
アサガオの花色変異体の内、パステル調の花を咲かせるdingy変異体は側鎖構造が不完全なアントシアニン色素を花弁に蓄積している。平成26年度は、アントシアニン色素の側鎖形成への関与が示唆されたアシル基転移酵素遺伝子について、dingy変異との関連を明らかにする。
香川大学における研究員の任期が25年度で終了し、26年度から名城大学へ移動するのに伴って、研究計画の一部を名城大学へ移行したため。名城大学における研究の再開に伴い、研究の遂行に必要な機器及び消耗品と試薬の購入に充てる。
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The Plant Journal
巻: 78 ページ: 294-304
10.1111/tpj.12469