研究課題/領域番号 |
25850021
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
鳴海 貴子 香川大学, 農学部, 准教授 (30469829)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 花弁表皮細胞 / トレニア / 花き / 転写因子 |
研究概要 |
花の色は、色素による色彩に加え質感(花弁表皮細胞の形態)によっても決定されている。花色素成分の分析や花色に関わる遺伝子について研究が盛んに行われている一方で、花弁表皮細胞の形態制御関連遺伝子について研究が殆んど行われていない。花弁表皮細胞の形態に関わる因子の特定および解析により、従来の育種では難しい花弁の質感を含む花色パターン改変が可能になると考えられる。本研究では、花弁表皮細胞の形態に関わる転写因子遺伝子のプロモーター領域を用い、「いつ、どのように」花弁表皮細胞の形態が決定するのか詳細な機能解析を行う。 これまでトレニアからキンギョソウの表皮細胞関連転写因子遺伝子群に相同な転写因子遺伝子TfMYBML1、TfMYBML2およびTfMYBML3を単離しており、花冠発達過程における遺伝子発現解析によって、これら転写因子が花弁表皮細胞に関与していることを示唆している。これら転写因子がどのように花弁表皮細胞の形態に関与しているのか遺伝子発現部位の解析と転写因子の機能解析により明らかにするため、本年度は、解析に用いる植物材料作りの前段階である導入遺伝子の構築および組織特異的に遺伝子発現の検出が可能なin situ ハイブリダイゼーション解析の予備試験を行った。 TfMYBML1、TfMYBML2およびTfMYBML3遺伝子発現部位の解析のために、各遺伝子由来のプロモーター領域(ネイティブプロモーター)にレポーター遺伝子であるGUS遺伝子を連結したプロモーター(pro)/ GUS融合遺伝子(TfMYBML1/GUS, TfMYBML2/GUS, TfMYBML3/GUS)を構築した。TfMYBML3/GUSをアグロバクテリウム法によりトレニアへ導入し、再分化シュートを40個体獲得した。In situ ハイブリダイゼーション解析の予備試験として、最もTfMYBML1、TfMYBML2およびTfMYBML3遺伝子発現量が多いガク開裂前の花芽を材料にTfMYBML3遺伝子の検出を試みた結果、花弁表面に遺伝子発現が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度予定では、ネイティブプロモーターを用いたTfMYBML1、TfMYBML2およびTfMYBML3転写因子機能解析のための導入遺伝子の構築を予定していたが着手できなかった。その理由として、ネイティブプロモーター(pro)/ GUS融合遺伝子の構築に時間がかかりすぎたことと、本年度早々に妊娠が発覚し、産前の体調不良により着手できなかったことが挙げられる。また、遺伝子導入についても出産を控えていたため、材料の維持などの責任がとれないためにTfMYBML3/GUS遺伝子導入以外は着手しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
育児休業復帰後に、ネイティブプロモーターを用いたTfMYBML1、TfMYBML2およびTfMYBML3転写因子機能解析のための導入遺伝子の構築を行い、順次遺伝子導入を行う。さらに、既に構築済みのTfMYBML1/GUS, TfMYBML2/GUS遺伝子の導入を行う。本年度、これら解析を補うために組織特異的に遺伝子発現の検出が可能なin situ ハイブリダイゼーション解析の予備試験を行い検出条件を確定することができたため、今後は確定した条件をもとに、花弁の唇弁部、筒部、ブロッチ部などの組織別の詳細な解析を行い、TfMYBML1、TfMYBML2およびTfMYBML3が発現する組織の特定を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
妊娠が発覚し、その後の体調不良のため予定どうりに研究を進めることができず、学会発表についても移動距離の問題から控えたため、次年度使用額が生じた。 育児休業復帰後に、遅れた分の研究を進めるための物品費や学会発表などの旅費として使用する予定である。
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