2014年度はAVR遺伝子分布および変異の地理的相関および菌株間の遺伝子交換の可能性について検討した。 (1)AVR遺伝子とR遺伝子の地理的相関の検討 フィリピン、ベトナム、イタリアより分離したイネいもち病菌およびメヒシバいもち病菌について、AVR遺伝子の保有状況を調査した。これまでに調査した日本および外国産の菌株におけるAVR遺伝子の分布の特徴と顕著に異なる分布を示す集団は見出されなかった。同一採集地における異なる菌株間の遺伝子交換の痕跡等も検出されなかった。 (2)異なる菌株間の遺伝子交換の可能性 異なる菌株間での遺伝子交換を再現するために、まず菌糸融合が起こる可能性について検討した。異なる2菌株の分生胞子を混合し、PDA液体培地、寒天培地において共存培養を試みたが、胞子細胞からのconidial anastomosis tubeによる細胞融合は観察されなかったが、いくつかの菌株の組み合わせにおいて発芽管細胞の融合が認められた。また、菌糸片の対峙培養により、伸長した菌糸先端で細胞融合が確認された。 「LTH monogenic linesを用いた各種AVR遺伝子のR品種上での変異菌検出頻度の比較」については、現在、ササニシキBL(同質遺伝子系統)とTALENによる遺伝子導入イネ菌の組み合わせで実験を開始している。
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