研究課題
リンドウ栽培ではリンドウこぶ症と呼ばれる病気が大きな問題となっている。こぶ症発症個体は、茎表面の凹凸(茎皮層における木質細胞の異常分化が原因)・節や根の腫瘍、などの症状を呈し、最終的に枯死する。これまでに、リンドウこぶ症株に感染しているウイルスGKaVから、こぶ症様の症状を誘導する因子GK32を同定し、その作用機構解明に取り組んできた。最終年度は、DEX誘導型GK32発現シロイヌナズナ形質転換体を利用して、発現誘導後の経時的なトランスクリプトーム解析・定量PCR解析をした。前年度の結果と総合すると、オーキシン経路・ブラシノステロイド経路の活性化、サイトカイニン経路の抑制が早期に見られ、その後木部分化を制御する遺伝子の活性化、それに続き師部分化を制御する遺伝子の顕著な活性化が起きることを明らかにした。GK32タンパク質が相互作用する因子を酵母ツーハイブリッド法で探索し、リボソームタンパク質(28種類)をはじめとした51種類の候補遺伝子を単離した。さらに、酵母での二次スクリーニングにより最終候補遺伝子を決定した。今後は、最終候補因子について、植物細胞内でのGK32タンパク質との相互作用やこぶ症誘導に関与するかを明らかにする。DEX誘導型GK32発現シロイヌナズナ形質転換体はDEX処理依存的に顕著な形態異常を引き起こす。GK32タンパク質の作用点を明らかにするため、EMS処理によりGK32発現シロイヌナズナ形質転換体に変異を導入し、形態異常が消失する復帰変異体のスクリーニングを行った。これまでに、独立した5ラインの復帰変異体を得た。1ラインに関して、マッピングを進め、3つの遺伝子まで絞り込んだ。今後は、その他のラインも含め、原因遺伝子の同定を進める。
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