これまでに,ARK-1株の拮抗作用機構の解明を進めてきた結果,ブドウ樹体内においてARK-1株は病原細菌の菌数を1/10程度まで減少させることが確認されたが,ARK-1と病原細菌の混合接種において,接種1~5日後までは明瞭な差は認められなかった. このことから,ARK-1株がブドウに接種された初期の段階で、どのような拮抗作用機構を示すのかを確認するために,ARK-1株と病原細菌をブドウ1年生実生苗の主幹部に等量混合接種した際の主幹内における病原性関連遺伝子群の発現量を測定した. その結果,ARK-1株を混合した接種部位の発現量は病原細菌の単独接種における発現量の1/3~1/7まで低下していた.以上より,ARK-1株の拮抗作用機構には,短期的には病原細菌の病原性発現の抑制が,長期的には病原細菌の増殖抑制が関与すると考えられた.
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