研究課題/領域番号 |
25850048
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
勝山 陽平 東京大学, 農学生命科学研究科, 講師 (50646437)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 生合成 / 応用微生物 / 酵素 / 有機化学 |
研究概要 |
cremeomycin生合成遺伝子クラスターをStreptomyces lividansに入れたのみでは化合物の生産は確認されなかった。そこで、転写制御因子のプロモーターをermEプロモーターに置換したところ、cremeomycinの生産が確認されるようになった。次に、リコンビナーゼ過剰発現大腸菌を用いて、各遺伝子の破壊株を作製した。その結果、cremeomycinの生合成に必要な最低限度の遺伝子セットを見出す事に成功した。 また、生合成に必須な遺伝子破壊株を作製したところ、いくつかの株で中間体の蓄積が見られた。これらの中間体を有機化学的に合成し、破壊株の生産する化合物と比較する事で構造決定した。また、得られた結果を用いてcremeomycinの生合成経路を予想し、ジアゾ基の形成に重要な遺伝子が5つ存在する事を明らかにした。また、これらのうち3つが特にジアゾ基の形成において重要な役割を担っている可能性が示唆された。 前述した5つの遺伝子を大腸菌を用いて組換えタンパク質の取得を試みた。その結果、全てのタンパク質の調製に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、cremeomycinの異種発現系の構築に成功している。また、異種発現株を利用し、cremeomycinの生合成に必須な遺伝子を絞り込む事に成功している。また、in vitro実験にそなえ、組換えタンパク質の取得も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
(1) In vitro解析による解析 Cremeomycinのジアゾ基の形成に関わると思われる酵素を大腸菌を用いて組換えタンパク質として調製し、試験管内でジアゾ基形成反応の再現を試みる。組換えタンパク質の取得は順調に進行しているが、一部、調製が難航しているものも存在する。それらの酵素は放線菌シャペロンとの共発現もしくは放線菌を用いた発現系を用いて調製する。また、平行してこれらのタンパク質の結晶構造解析を試みる。 (2) ジアゾ基を持つ化合物のゲノムマイニング これまでの実験でジアゾ基の形成に特に重要であると考えられる遺伝子、3つを特定した。これらの遺伝子のホモログをゲノムデータベースを用いて探索した。その結果、複数の株で、これらの3つの遺伝子が同じ生合成遺伝子クラスターに含まれているように見えた。これらの生合成遺伝子クラスターの生産物を調べる事で新規なジアゾ基を持つ化合物を探索する。まず、これらの遺伝子を破壊し、破壊株で生産が消失する化合物を探索する。また、生合成遺伝子クラスター全体をクローニングし、Streptomyces lividansやStreptomyces albusでの異種発現を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験計画が予想よりも順調に進行したためよけいな出費が抑えられた。 化合物を分析するための有機溶媒、培地等の試薬に主に用いる。
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