研究実績の概要 |
Burkholderia sp. HME13において、エルゴチオネインはエルゴチオナーゼによってチオールウロカニン酸に変換され、次に、チオールウロカニン酸ヒドラターゼによって3-(2-メルカプト-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-5-イル)-5-プロピオン酸に変換されることを昨年度までの研究で明らかにした。 今年度は3-(2-メルカプト-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-5-イル)-5-プロピオン酸以降のエルゴチオネイン代謝経路の解明を試みた。エルゴチオネインを窒素源とした液体培地で培養したBurkholderia sp. HME13の粗酵素液を調製し、10mMチオールウロカニン酸を含む20mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.2)に加えて30℃で反応させた。反応液をInertsil ODS-4カラムによるHPLC分析に供したところ、反応後の溶液にグルタミン酸が検出された。この結果から、Burkholderia sp. HME13はエルゴチオネインをグルタミン酸に代謝することが示唆された。エルゴチオナーゼ遺伝子とチオールウロカニン酸ヒドラターゼ遺伝子の近傍にはエルゴチオネイン代謝に関与すると推定される2種類の酵素遺伝子があり、この遺伝子産物が3-(2-メルカプト-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-5-イル)-5-プロピオン酸からグルタミン酸までの代謝反応を触媒するものと推定されたため、それぞれPCRで増幅してpET21a(+)に連結し、Escherichia coli BL21(DE3)を形質転換した。常法によりLB培地で形質転換体を培養し、IPTGで目的タンパク質の発現を誘導したが可溶性画分には発現しなかったため、宿主ベクター系を変えて目的タンパク質の取得を試みる必要がある。
|