研究課題/領域番号 |
25850054
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 石川県立大学 |
研究代表者 |
南 博道 石川県立大学, 生物資源環境学部, 講師 (90433200)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 応用微生物 / 発酵 / バイオテクノロジー / 酵素反応 / 植物アルカロイド |
研究概要 |
本提案は、我々が構築した微生物発酵法による植物アルカロイド生産システムを利用した新規生合成遺伝子の網羅的な単離と、単離した遺伝子を組み合わせて(コンビナトリアル生合成)生産システムに導入することで、様々な新規化合物を生産することを目的としている。今年度は、レチクリン生産システムに対して、糖転移酵素および硫酸転移酵素を用いることで、レチクリン等のアルカロイドの側鎖修飾を行った。側鎖修飾により、安定性の増加や新規生理活性を有することが報告されている。 具体的には、ヒト、マウス、ラット由来の UDP-glucuronide transferase (UGT) 発現酵母株、Arabidopsis thaliana 由来の UDP-glucose transferase (UGT72E2、UGT84A2) 発現大腸菌株、および Rauvolfia serpentine 由来 arbutin synthase (RsAS) 発現大腸菌株に対して、レチクリンを培地中に添加することで反応させた。その結果、マウス由来UGT (2b1)、ラット由来UGT (2B1) において、レチクリン配糖体合成に成功した。また、ヒト由来硫酸転移酵素(SULT1A1、1A3、1B1、1E1、2A1)発現酵母株に対して、レチクリンを培地中に添加することで反応させた。その結果、SULT1A1、1A3、1E1 において硫酸抱合体の合成に成功した。これらの結果より、アルカロイド生合成とは無関係な糖転移酵素および硫酸転移酵素を用いた新規アルカロイド生産が可能であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
糖転移酵素および硫酸転移酵素を用いた新規アルカロイド生産には成功したが、他の二次代謝産物(テルペノイドやフェノール性化合物)を産生する植物や放線菌からの cDNA ライブラリーを用いた新規生合成遺伝子の単離には成功していないため。
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今後の研究の推進方策 |
レチクリンに対して活性を有していた糖転移酵素および硫酸転移酵素に対して、レチクリン生産システムに導入することで、微生物発酵法による新規アルカロイド生産を行う。 新規生合成遺伝子の単離については、他の二次代謝産物産生植物や放線菌由来 cDNA ライブラリーからのスクリーニングを引き続き行う。さらに、アルカロイド分解性の微生物(Pseudomonas属)からのライブラリーを用いて、植物由来の生合成遺伝子とは異なった分解系の新規遺伝子の単離も検討する。 得られた新規化合物に関しては、医薬系研究機関との共同研究もしくは化合物提供により、培養細胞を用いた抗酸化活性や抗癌活性等の生理活性スクリーニングを行い、幅広い生理活性評価を行う。各々の生理活性に対して最も有効な値を示したアルカロイド化合物および新規化合物に対しては、実用生産システムを構築するとともに、マウス等の動物実験により詳細な生理活性の解明を行う。
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