研究課題
本提案は、我々が構築した微生物発酵法による植物アルカロイド生産システムを利用した新規生合成遺伝子の網羅的な単離と、単離した遺伝子を組み合わせて(コンビナトリアル生合成)生産システムに導入することで、様々な新規化合物を生産することを目的としている。そこで、レチクリンに対して活性を有していた糖転移酵素および硫酸転移酵素に対して、レチクリン生産システムに導入することで、微生物発酵法による新規アルカロイド生産を行った。また、L-Trp からアルデヒドを生成する系を構築し、BIA 骨格のベンゼン環の代わりにインドール環を有するアルカロイドの生産システムを構築した。具体的には、human由来の3種類の硫酸基転移酵素(SULT1A1、1A3、1E1)が、レチクリンに硫酸基を付加することを見いだした。SULT1E1をレチクリン生産株に導入した菌株において、グルコースを原料として3’位に硫酸基が付加したReticuline O-sulfateを生産できた(222 mg/L)。また、ラットおよびマウス由来のグルクロン酸転移酵素(UGT2B1)がレチクリンの水酸基にグルクロン酸を付加することを見いだした。さらに、Catharanthus roseus 由来の aromatic amino acid decarboxylase(CrTDC)の変異型酵素(Y348F)を用いて、NCS、L-DOPA decarboxylase (DDC)と共発現する菌株を L-DOPA および L-Trp を含む培地で培養したところ、インドール環を有する新規ベンジルイソキノリンアルカロイドが生産された(10 mg/L)。これらの結果より、アルカロイド生合成とは無関係な酵素を用いた新規アルカロイド生産が可能であることが明らかとなった。
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Scientific Reports
巻: 4 ページ: 6695
10.1038/srep06695