研究課題
淡水生シアノバクテリアSynechococcus elongatus PCC 7942、Synechocystis sp. PCC 6803は、細胞周期の全てのステージにおいて、細胞あたり複数コピーのゲノムを保持している。しかしながら複数コピーゲノムの複製機構や、ゲノムコピー数を規定するメカニズムは不明であった。平成26年度までの研究結果からSynechococcusのゲノムコピー数は培地中のリン酸濃度に強く依存すること、またその制御にはリン酸飢餓ストレス(以後P-ストレス)に応答する転写因子Xが関与することが示された。平成27年度は以下の項目について研究を実施した。(1)P-ストレスによって引き起こされるゲノムコピー数減少のメカニズムの解明:P-ストレス時のDNA量、複製活性、細胞数を解析した。その結果、P-ストレス下ではDNAの複製開始が特異的に阻害されることが示された。一方、DNA複製の進行、細胞数はコントロールと同程度であった。これらの結果からP-ストレス下では、DNA複製と細胞分裂頻度のバランスが崩れることによって、ゲノムコピー数が減少すると考えられた。(2)P-ストレスの代謝への影響: P-ストレスによる代謝産物量の変化についてメタボローム解析を実施した。その結果P-ストレス下では核酸前駆体の減少が確認された。(3)転写因子Xの機能解析:Xの制御する遺伝子を同定するために、Xの過剰発現株を用いてRNA-seq解析を行った。その結果、リン酸ストレス応答におけるセンサーキナーゼSphSとレギュレーターSphRに加え、SphS-Rを負に制御するSphUの顕著な誘導発現が確認された。転写因子XがSphS-Rシグナル伝達系とクロストークすると考えられたため、XとsphS遺伝子の二重破壊株を作製した。現在これらの株に関してゲノムコピー数への影響を解析中である。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
ISME Journal
巻: 10(5) ページ: 1113-1121
10.1038/ismej.2015.194.
Journal of General Applied Microbiology
巻: in press ページ: in press
PLoS ONE
巻: Sep 2;10(9) ページ: e0136800
10.1371/journal.pone.0136800