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2013 年度 実施状況報告書

糸状菌の新規PARGの探索とその生理学的機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25850057
研究種目

若手研究(B)

研究機関名城大学

研究代表者

志水 元亨  名城大学, 農学部, 助教 (20423535)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードAspergillus nidulans / PARG / Poly(ADP-ribose)
研究概要

ポリ(ADP-リボース) 代謝には、ポリ(ADP-リボース) (PAR) を合成する poly (ADP-ribose) polymerase (PARP) および、分解する poly (ADP-ribose) glycohydrolase (PARG) の2種類の酵素が関与することが知られている。PARP は酵母を除くすべての真核生物に保存されおり、マウスでの解析からDNA 修復の効率、速度を高めるために働いていると考えられている。しかし、PARG の生理学的機能は未だ十分に明らかにされていない。また、酵母および Aspergillus nidulans を含む糸状菌のゲノム中には、それらを除くすべての真核生物で高度に保存されている既知の parg と相同性を示す遺伝子はコードされていなかった。本研究では、糸状菌の parg 遺伝子を特定し、さらにその生理学的役割を明らかにすることをめざした。
これまでに、A. nidulans のゲノム情報を利用してヌクレオチドの代謝に関与すると考えられる7 種類のparg 候補遺伝子を選抜し、大腸菌を宿主としてリコンビナントタンパク質を調製した。精製を行った後、PARG 活性の有無を検討したところ、1 種のみPARG 活性を有していることが確認された。既知のPARG は、活性発現にマグネシウムイオンが必要であることが知られており、今回見出したものも同様であった。これまでに糸状菌におけるPARG の報告はないためこのタンパク質をfungal PARG (fPARG) と名付けた。さらに、Δfparg株を作製しDNA損傷剤に対する感受性を調べたところ、野生株と比べて感受性が高かった。これらのことから、fPARGが、広く真核生物に保存されている既知のPARGと同様の機能を有していると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

世界で初めて糸状菌においてPARG活性を有する酵素を発見できたことは評価できる。また、このfPARGの遺伝子破壊株の作製に成功し、当該遺伝子の生理的役割について一部明らかにすることができた。

今後の研究の推進方策

野生株とfparg遺伝子破壊株を用いて、fparg 遺伝子の破壊によるMMSなどのDNA損傷剤および酸化ストレスに対する影響を比較する。また、どのような条件で遺伝子発現が誘導されるかについても、定量PCRを用いて解析する。また、野生株と比較して、作製したfparg遺伝子破壊株において、ポリ(ADP-リボース)の分解能が低下しているか検討する。さらに、GFPを付与したfPARGを利用して、fPARGの細胞内での局在を共焦点顕微鏡にて解析する。

次年度の研究費の使用計画

今年度はほぼ計画通りに研究が遂行できた。わずかに生じた差し引き差額分は次年度に繰り越し使用する。
次年度は研究を推進するために、研究成果発表のための旅費100,000円と英語論文校閲、論文掲載費および別刷り代金200,000円の他は消耗品費に充てる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Nudix hydrolase controls nucleotides and glycolytic mechanisms in hypoxic Aspergillus nidulans2013

    • 著者名/発表者名
      Shimizu M, Takaya N
    • 雑誌名

      Biosci Biotechnol Biochem

      巻: 77 ページ: 1888-1893

    • DOI

      10.1271/bbb.130334

    • 査読あり
  • [雑誌論文] NO-inducible nitrosothionein mediates NO removal in tandem with thioredoxin2013

    • 著者名/発表者名
      Zhou S, Narukami T, Masuo S, Shimizu M, Fujita T, Doi Y, Kamimura Y, Takaya N
    • 雑誌名

      Nat Chem Biol

      巻: 9 ページ: 657-663

    • DOI

      10.1038/nchembio.1316

    • 査読あり

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公開日: 2015-05-28  

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