研究課題/領域番号 |
25850060
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
西本 完 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品バイオテクノロジー研究領域, 主任研究員 (30399381)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ビフィズス菌 / LNB資化遺伝子クラスター |
研究概要 |
ビフィズス菌4菌種(ロンガム、インファンティス、ブレーベ、ビフィダム)について、培地中の炭素源をグルコース、ラクト-N-ビオースI(LNB)ラクトース、スクロース、ラクチュロースとした時の増殖曲線を比較した。ロンガムではいずれの炭素源においても良好な増殖を示した。一方、インファンティスおよびブレーベではスクロース培地において増殖速度の低下がみられた。また、ビフィダムではスクロースで増殖せず、ビフィダムにはスクロースの資化能がないことが示唆された。なお、ラクチュロースでは増殖速度の低下がみられた。これらの培養液から経時的に菌体を採取し、現在、DNAマイクロアレイ解析および定量的リアルタイムPCR解析のためのRNAおよびcDNAの調製を行っている。 LNB資化遺伝子クラスター構造について、ゲノム情報より新たに3菌種(sp.12、シュードロンガム、マグナム)のビフィズス菌において本遺伝子クラスターの存在が確認でき、以下のような興味深い知見が得られた。sp.12はロンガムとまったく同じ構成であったのに対し、シュードロンガム、マグナムではUDP-ガラクトース4-エピメラーゼ遺伝子が欠失していることがわかった。さらに、マグナムではビフィダムで確認されたN-アセチルグルコサミンからN-アセチルグルコサミン6リン酸を生成するN-アセチルグルコサミンキナーゼ遺伝子に加え、N-アセチルグルコサミン6リン酸からグルコサミン6リン酸を生成するN-アセチルグルコサミン6リン酸デアセチラーゼ遺伝子、さらにグルコサミン6リン酸からフルクトース6リン酸を生成するグルコサミン6リン酸デアミナーゼ遺伝子がクラスター内に見いだされ、LNBの加リン酸分解によって生じたN-アセチルグルコサミンをフルクトース6リン酸へ変換する経路が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子発現については、予定通り炭素源の異なる培養における菌体からcDNAの調製へと進み、遺伝子クラスター構造についても新たに3菌種において同定することができたため、おおむね計画通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画した次年度以降の計画に沿って、平成26年度は調製したcDNAからDNAマイクロアレイ解析、定量的リアルタイムPCR解析を行い、LNB代謝関連遺伝子の発現挙動についての詳細な知見を得る。また、GNB/LNBホスホリラーゼ遺伝子の存在が確認されているアニマリスのLNB資化関連酵素遺伝子クラスター構造の有無についても引き続き調査する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた学術集会への参加を見送ったため、旅費項目において未使用額が生じた。 本研究課題推進のため、次年度の研究費は交付申請時の計画通り使用する。なお、次年度使用額159,592円は、次年度中の学術集会への参加費等に追加し、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
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