研究課題/領域番号 |
25850069
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松浦 秀幸 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (10596232)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ポリソーム / CAGE解析 / シロイヌナズナ / 翻訳制御 |
研究概要 |
本研究では,①mRNA の翻訳状態をその正確な5’端近傍配列と同時にゲノムワイドに決定すること,②ゲノムワイドデータを活用した生物情報科学的解析により,当該翻訳制御を規定する5’-UTR 5’端近傍領域内シス制御因子を探索し,変異解析等により特徴付けすること,③5’端の重要性から想定されるトランス制御因子候補遺伝子の当該制御における機能や役割を解析することにより,高温ストレスに応答した翻訳制御機構の分子メカニズムの解明を目指す.本年度は,Cap Analysis of Gene Expression (CAGE)解析に供するRNA試料の調製とCAGE解析を通じたシークエンスデータの取得に取り組んだ.通常培養条件(22℃)及び高温ストレス条件(37℃)にて培養したシロイヌナズナT87培養細胞の細胞抽出液をショ糖密度勾配遠心に供し,複数のリボソームと結合したmRNA(polysomal RNA)を含むポリソーム画分を回収した.ポリソーム画分からのRNA精製方法に関する検討およびショ糖密度勾配遠心に供していない細胞抽出液よりtotal RNAを精製する方法に関して種々検討を行い,CAGE解析に適した質・量のRNAを取得することができた.同様のRNA精製を二反復で行った.続いて,RNA試料をCAGE解析に供し,各RNA試料に関するCAGEタグシークエンスデータを取得することに成功した.CAGE解析より得られたデータの解析にも取り組んだ.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主要な目的は,①mRNA の翻訳状態をその正確な5’端近傍配列と同時にゲノムワイドに決定すること,②ゲノムワイドデータを活用した生物情報科学的解析により,当該翻訳制御を規定する5’-UTR 5’端近傍領域内シス制御因子を探索し,変異解析等により特徴付けすること,にある.当初計画では,本年度内に、ポリソーム解析およびCAGE解析を実施し,5'-UTR 5'端近傍領域内シス制御因子の探索に着手することであった.先の研究実績の概要において述べた通り,本年中にCAGEデータの取得までは完了することができ,①についてはほぼ達成できたと言える.CAGEデータの解析に関しては,未だに完了はしていないが,シス制御因子の探索を実施に向けた前段階の解析は順調に進展している.こうした現状に鑑みて,おおむね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
CAGE解析により得られたデータセットを活用し,生物情報科学的解析を通じた新規シス制御因子の探索を行う.また,変異導入解析等によりシス制御因子の特性・機能解析を行う.さらに,トランス制御因子候補であるスキャフォ ールドタンパク質eIF4G やeIFiso4G の機能解析を実施する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
所属機関における耐震工事に伴う研究室の移転作業と移転後の実験環境のセットアップ作業により実験の進捗に遅れが出たため。 プラスチック器具などの消耗品費として使用する計画である。
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