研究課題/領域番号 |
25850077
|
研究機関 | 一関工業高等専門学校 |
研究代表者 |
中川 裕子 一関工業高等専門学校, 准教授 (70435577)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | キチン / 酵素分解 / 促進因子 / 多糖バイオマス / 組換え酵素 |
研究実績の概要 |
これまでに精製済みSgCBP I(新潟大との共同研究により酵素を頂いた)、当研究室で精製したSgCBP II-Vのキチン分解酵素との相乗効果試験と至適pHや至適温度、濃度等の解析を行ってきた。全部はデータが揃っていないため、引き続き各酵素のキャラクタライゼーションを行っていく。各CBPは基質によって反応性が異なることが判ったが、反応機構は似通っている。なぜこの菌株が5つもCBPを持っているのか非常に興味深い。 詳細な結合試験は、最も解析が進んでいるSgCBP IVとその変異型組換えSgCBP IVのうちのひとつに関して行った。手法が確立したので、他のSgCBPに関しても同手法で進める。今のところ、結合の強さと基質の分解能力には相関は見られない。 SgCBP Vに関しては、2つあるドメインのうちの1つに関しても組換えタンパクを作成することに成功し、精製方法を確立した。もう1つのドメインに関しては苦戦している。精製に成功したシグナル配列を除く全長と、推定キチン結合ドメインとして登録されていた部分が、セルロース上でモノオキシゲナーゼ活性、あるいはセルロース上にニックを入れる活性を持つことが明らかになった。 最も解析が進んでいるSgCBP IVに関して4つの変異型組換えベクターを作成し、そのうち1つの精製に成功した。基質に対する結合試験と、キチン分解酵素と組み合わせた分解試験を終えたところである。基質に対する結合力は変わらないものの、αキチン、βキチンに対する分解効率に差があることが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
妊娠後期に入院を余儀なくされ、学生の指導が途中からできなくなった。さらに、出産、育休に入ったためメイルのみで指導を行っており、若干遅れが生じている。 基質の物性評価に関してはデータがほぼ揃ったが、詳細な結合試験に関しては一部のCBPに関してのデータを得るにとどまっている。各酵素のキャラクタライゼーションに関しても引き続き解析中である。 SgCBP Vに関しては、2つあるドメインのうちの1つに関しても組換えタンパクを作成することに成功し、解析も順調であるが、もう1つのドメインを含む組換えタンパクは得られていない。 最も解析が進んでいるSgCBP IVに関して変異体1種を含むデータで論文をまとめるに至った。
|
今後の研究の推進方策 |
1)相乗効果試験に加え、SgCBP I-V自体の活性を明らかにする。生成物の量が非常に少ないため、UHPLCを用いた系を確立する必要がある。基質の状態も重要である。 2)SgCBP Vとセルラーゼの相乗効果を調べる。 3)SgCBP IVの変異体の精製物に関してキャラクタライゼーションを行い、重要なアミノ酸残基について考察する。SgCBP IV以外の変異体も作成する。 4)精製プロテアーゼを使った分解試験を進める。 5) SgCBP、キチナーゼ、プロテアーゼを組み合わせ、各基質に最適な酵素液を提案する。場合によっては変異酵素も利用できる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
妊娠し、12月から産休に入る予定だったが、体調を崩して11月に入院、そのまま出産となった。現在は育休中で、2015年10月に復帰予定である。
|
次年度使用額の使用計画 |
復帰後、及び平成28年度にSgCBP I-Vの解析、各種変異体の解析に用いるとともに、SgCBP、キチナーゼ、プロテアーゼを組み合わせ、各基質に最適な酵素液を提案する実験に使用する。また、学会発表や研究打ち合わせのための出張費、論文校閲に使用する。
|