28年度末までに未解析のSgLPMO10Eを除くSgLPMO10A-F(旧SgCBP I-V) についての活性を明らかにした。SgLPMO10Eを除くSgLPMO10A-Fは、全てキチンを基質にした際に活性を示したが、SgLPMO10A(旧SgCBP V) はキチン分解酵素による分解促進効果を示さず、セルロースの酵素分解を促進することが分かった。SgLPMO10Aの効果は、結晶性の高いろ紙を基質にした際に特に顕著であった。また、SgLPMO10Aは、キチンを基質にした際に脱アセチル化能を示したことから、新規機能を持つLPMOであると考えられた。SgLPMO10Aの解析結果については、現在投稿準備中である。また、SgLPMO10Aの2つのドメイン (AA10の触媒ドメイン及びCBM2) に関して各々の機能を詳細に解析するためのコンストラクトが完成し、組換えタンパクの発現試験まで進めることができた。機能未解析のCBM2ドメインに関しては、今後も解析を進める。SgLPMO10Aに関しては、変異体も数個作成し、活性に重要なアミノ酸残基の一つを明らかにした。 SgLPMO10F(旧SgCBP IV) の2つの変異体に関してキャラクタライゼーションを行い、56番目のチロシン残基はキチンに対する活性に重要であるが、必須ではないことを明らかにした。また、この残基をトリプトファンに変えると、野生型と比較してα-キチン上で酵素分解活性が促進される理由を考察した。現在共同研究先に裏付けの実験を依頼しており、その結果が得られ次第論文をまとめる予定である。 今まで精製が難航していたキチン結合ドメインを持つプロテアーゼの精製方法を確立した。十分な量の組換え精製酵素が確保でき次第SgLPMO10、キチナーゼ、プロテアーゼを組み合わせた実験を行う予定である。
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