研究課題/領域番号 |
25850079
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
仲野 千秋 新潟大学, 自然科学系, 助教 (70620376)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | テルペン環化酵素 / メロテルペノイド / 生合成 / 放線菌 / BE-40644 |
研究概要 |
BE-40644は放線菌Actinoplanes sp. A40644から単離された抗腫瘍活性、抗HIV活性を有するメロテルペノイドである。BE-40644の生合成遺伝子クラスターは既に取得されているが、生合成において中心的な役割を果たすテルペン環化酵素は未知のままである。本研究はBE-40644の生合成を担うテルペン環化酵素の取得、およびテルペン環化酵素を用いた非天然型メロテルペノイドの創製を目的として行った。 本年度は、まずin vivoによるBE-40644生合成遺伝子クラスターの機能解析に取り組んだ。クラスターからテルペン環化酵素遺伝子と想定したorf15や、プレニルトランスフェラーゼホモログであるorf14とorf15を除いたプラスミドを構築し、Streptomyces lividansに形質転換した。培養菌体抽出物を解析した結果、BE-40644は生産されなくなったが、生合成中間体の生産も見られなかった。次に、ORF15の活性部位と考えられるE44をAlaに置換したプラスミドを作成した。培養菌体抽出物を解析したところ、特異的な代謝産物が確認できた。この代謝産物は微量であったことから、まだ構造決定には至っていない。 また、非天然型メロテルペノイドの創製を目的とし、ORF15と基質アナログとの酵素反応を行った。orf15をpColdIおよびpColdTFに連結し、大腸菌にて発現させた。また、orf15をpIJ6021に連結し、S. lividansを宿主とした発現も行った。その結果、pColdTFに連結し、大腸菌で発現させることにより、可溶性タンパク質を得ることができた。得られたORF15の粗酵素液とfarnesyl hydroquinoneなどのキノン部分を改変した基質アナログとの酵素反応を行い、酵素反応抽出物をGC-MSにて解析したが、生成物は得られなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
BE-40644生合成遺伝子クラスターからorf15を除いたプラスミドを過剰発現させることにより中間体が得られると想定していたが、代謝産物が得られなかった。予定を変更し、ORF15変異株を作製したことにより、形質転換体から生成物を得ることには成功したが、微量であったため構造決定には至らなかった。他の放線菌宿主に導入し、生産量を上げることで遅れを取り戻したいと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度構築したプラスミドを他の放線菌宿主にて過剰発現させることにより、中間体の生産量を上げることを計画している。得られた中間体の構造を決定することでORF15の機能を明らかにする。また、基質アナログとORF15との酵素反応により、非天然型メロテルペノイドが創製できなかった理由として、大腸菌を用いて発現させた組換えタンパク質が活性体として機能していない可能性も考えられる。酵母や他の放線菌を宿主とした発現系にも取り組む。組換え酵素を用いた酵素反応を行い、ORF15の機能解析、および非天然型メロテルペノイドの創製を進めて行く。
|
次年度の研究費の使用計画 |
当初の実験計画においては、orf15を除いたプラスミドを放線菌にて過剰発現させることで、中間体を得る予定であったが、代謝産物を得ることができなかった。そのため、実験計画の変更があり、若干の繰越金が生じた。 次年度では、計画していた酵素反応実験や合成実験などに加えて、発現系の構築や大量培養などの実験が多くなることから、それらの経費に計上する。学会への旅費や学術論文の発表などの経費は、申請時の計画通りに進めていく予定である。
|