研究課題/領域番号 |
25850088
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松宮 健太郎 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (60553013)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 米粉 / 乳化物 / タンパク質 / 澱粉 / 生産調整 / 食品 |
研究概要 |
現在日本では、平成21年に「米穀の新用途への利用の促進に関する法律」が制定されるなど、米の消費拡大に向けて、米粉の利用が促進されている。米粉用米は、工業用米や飼料用米と同じ「新規需要米」の範疇に入るため、生産調整(いわゆる減反政策)の対象にならないというメリットがある。 そのため、今後、我が国の農作物生産環境を守り、食料自給力を維持・向上させるためには、米粉の用途拡大が急務となっている。米粉の用途としては、これまでのところ、従来の和菓子や上新粉などに加え、パンやケーキなど、小麦粉の代替物としての利用が主要なものとなっている。その一方で、油脂を含有する液状乳化系食品への応用はそれほど注目されてこなかった。 本研究では、乳化系食品分野への米粉利用の展開を主題とし、米粉分散液を油脂代替成分として利用する、あるいは油脂を乳化するための機能性素材として利用するという2つのアプローチを行う。平成26年度は、主に油脂を乳化するための機能性素材としての利用に焦点を当て、研究を行った。 米粉で乳化物を作成したところ、クリーミングは観察されるものの、油滴の合一や油脂の分離は起こりにくいことが明らかになった。このような傾向は、米粉を高温で加熱処理するほど強く現れることがわかった。食品素材の乳化特性は、油と水の界面での挙動に依存することが大きいことから、米粉の主成分である澱粉やタンパク質の油滴表面への吸着挙動を基礎的に解析したところ、特にタンパク質の吸着量が多いことが明らかになった。その一方で、澱粉も少なからず油水界面に吸着し、乳化に寄与していることが明らかになった。 これらの知見は、今後の米粉利用を促進する際に、有用になると考えられる。また、乳化系食品に米粉を利用する際、どのように品種改良を行うのがよいのかを示すものとなる可能性もある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで申請者が主な研究テーマとしてきた乳化系食品を扱っていることから、研究手法や研究計画の立案に不安はなく、積極的に研究を行っている。そのため、進捗状況にも問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究については、これまでと同様に申請者が研究計画を立案しつつ、研究協力者である技術補佐員と学部生の協力のもと、研究を遂行する。今後は米粉を乳化系食品に展開するにあたり、これまであまり問題とならなかった調理科学的な要素が入ってくるため、調理科学を専門とする方にアドバイスを求めるなど、より広い情報収集が必要であると考えられる。
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