研究課題/領域番号 |
25850088
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松宮 健太郎 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (60553013)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 米粉 / エマルション / 乳化剤 / 安定性 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、前年度に行った米粉分散液の特性解析の結果を受け、液状乳化食品への米粉利用の展開を開始した。本実験では、濃厚系を想定した乳化系のモデル食品を設計し、ここに米粉分散液を混合したものをサンプルとして、油脂をさまざまな割合で米粉粒子で代替した。これらの混合物が、マクロな視点からどのような挙動を示すかを観察し、米粉を含まないサンプルと比較した。一般的に、澱粉粒子に油の粒子と完全に同じ性質を与えることは難しいことが知られているため、レオロジー的な測定と前年度の分散液の解析で用いた構造観察法を中心に、米粉を代替物として配合する場合の課題を把握することを目指した。 濃厚系の乳化モデル食品の不安定化を促進させる実験を行ったところ、米粉による油脂の代替により、濃厚系乳化物の油脂の分離が抑制される効果のあることが見出された。構造観察の結果、これは油滴の合一が防止されることによるものであることが明らかになった。また、レオロジー測定の結果、米粉の添加による粘度の上昇も不安定化の抑止に寄与していることが分かった。熱分析によって油脂の結晶化状態を確認したところ、米粉の添加で濃厚乳化系では油滴の結晶状態が変化していることが示唆された。 平成26年度は、この他にも酵素による米粉の修飾で、乳化安定性を向上させる取り組みも行ったが、予備的な検討が中心であったため、次年度に継続して改良効果を確認することになった。 これらの基礎的な知見は、今後の食品への米粉利用に有用な情報となる可能性が高い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究で得られた結果自体は当初予想していたものと異なる部分はあるものの、研究自体は順調に進行した。研究協力者らとスムーズな意思疎通が図られたことが大きく寄与しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は研究プロジェクトの最終年であることから、これまで得られたデータを総合的にまとめられるような実験が必要になると思われる。研究協力者らとの打ち合わせの頻度を増やし、逐一計画の見直しを実施することで研究を適切に推進していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品の使用数量が予定していた数量よりもやや少なかったため、当該使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の消耗品の購入に充てる。
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