研究概要 |
本研究では, 損傷およびVNC化したC. jejuniの回復について検討を行なうものである。平成25年度は,損傷したC. jejuni菌体を再現よく調製する手法の確立を目的とし, 穏やかな加熱処理について検討を行った. まず第一に、C. jejuniで得られた結果をこれまでの知見と比較するために、Salmonell Enteritidis の加熱損傷、さらにこれらの状態からの回復についての再現実験を行った。 Tryptic Soy Broth (TSB) にて37℃,一晩培養したSlmonella Enteritidis IFO3313 (SE) を集菌、洗浄した後Phospahte Buffered Saline (PBS, PH 7.4,25℃) 10mlに菌濃度10^7 CFU/ml となるように接種し、供試菌懸濁液とした。この菌懸濁液を50℃,55℃または60℃にて5,10または15分間穏やかに加熱した後、非選択性培地であるTryptic Soy Agar (TSA)および選択培地であるDHL寒天培地に加熱処理菌液を塗抹し,各培地に生じたコロニー数にから損傷の程度を算出した。その結果、55℃,10分間加熱することにより,菌数は1オーダー減少し、さらに生残した菌体の99.99%は損傷することを確認した。また,この損傷菌体は,TSB中で3時間培養することにより選択性の培地でもコロニー形成能を回復し,その後は非損傷菌体と同様に増殖することも再確認した。 また,平成26年度のために、これまでSEにおいて損傷回復時に発現量が増加することを確認した遺伝子群の塩基配列について,カンピロバクター属の遺伝子との相同性検索を行なった。その結果,酸化ストレス関連遺伝子であるtrxC, recA, Fur, ahpCが対応するサルモネラ遺伝子との相同性が高かった.
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