研究課題/領域番号 |
25850094
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
松田 弘幸 日本大学, 理工学部, 講師 (50339256)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | クルクミン / 包接化合物 / シクロデキストリン |
研究概要 |
平成25年度は,以下の(a),(b)の事項を行った. (a) 天然物中の難水溶性生体活性成分+シクロデキストリン(CD)類の包接化合物の作製 本研究にて採用する天然物中の難水溶性生体活性成分のうクルクミンについて,CD類としてこれまで申請者が難水溶性医薬品の溶解度向上のための助可溶化剤として用いてきたCD類である2-Hydroxypropyl-β-Cyclodextrin (2-HP-β-CD), Methyl-β-Cyclodextrin (M-β-CD)の2種に加え,本研究で新たにSulfobutyl Ether(β-Cyclodextrin)を用い,クルクミンとの包接化合物を作成した. (b) (a)にて作製した包接化合物の水中における溶解度の精密測定ならびに溶解性向上評価 (a)にて作製した包接化合物の水中における溶解度の測定を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行い,その結果から当該生体活性成分の溶解度向上に最も適したCD類,ならびにその最適添加量の決定を行った.溶解度の測定温度は298 Kとした.クルクミン-CD包接化合物の水中の溶解度は,最大で2-HP-β-CDでは8.7×10-4 [mole fraction],SBE-β-CDでは1.6×10-3 [mole fraction],M-β-CDでは2.5×10-3 [mole fraction]となった.これらの値を純水中におけるクルクミンの溶解度と比較すると,それぞれ143倍,167倍,250倍となり,溶解度の向上を確認した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初シクロデキストリン(CD)類に加えてハイパーブランチポリマー(HBP)類についても包接化合物の作製およびクルクミンの溶解性向上を検討する予定であった.しかし,高速液体クロマトグラフィーを用いたクルクミンの溶解度測定に遅延があったため,平成25年度はCD類のみの溶解性向上の評価となった.
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,以下の平成25年度の(a),(b)の継続を行う. (a)(b): 包接化合物の作製とその構造評価・溶解性向上評価の継続 平成25年度に引き続き,難水溶性生体活性成分+CD・HBP類の包接化合物の作製とその構造評価,ならびに溶解性向上評価を行う.溶解性向上評価においては,その温度を303, 308, 313, 318 Kまで温度範囲を拡げる. 平成26年度では生体活性成分を,平成25年度に検討したクルクミンに加え,4-ヒドロキシデリシン(アシタバに含まれる腫瘍細胞障害活性を示す化合物),および他の食品中または未使用植物資源中の成分(例えばポリフェノール類の一つであるレスベラトロール)に替えて行う.
|
次年度の研究費の使用計画 |
当初シクロデキストリン(CD)類に加えてハイパーブランチポリマー(HBP)類についても包接化合物の作製およびクルクミンの溶解性向上を検討する予定であった.しかし,高速液体クロマトグラフィーを用いたクルクミンの溶解度測定に遅延があったため,平成25年度はCD類のみの溶解性向上の評価となった.HBP類等やその他難水溶性生体活性成分の支出が当初予定よりも少なかったためである. 上記の通りHBP類等やその他難水溶性生体活性成分,また,高速液体クロマトグラフィーのカラム等を購入する予定である.
|