研究課題/領域番号 |
25850095
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 由香 (豊島 由香) 日本医科大学, 付置研究所, 助教 (70516070)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アディポネクチン / タンパク質栄養 / アミノ酸 / 脂肪細胞 |
研究概要 |
本研究は、低タンパク質食摂食によりアディポネクチンが増加する機構とその生理的意義の解明を目指し、恒常性維持に果たすアディポネクチンの役割を明らかにすることを目的とする。平成25年度は低タンパク質栄養状態に応答したアディポネクチン増加機構を解明するために、低タンパク質食給餌による血中アディポネクチン量増加の機序と、低タンパク質食給餌による血中必須アミノ酸濃度の低下を脂肪細胞が直接感知してアディポネクチンの血中濃度を増やす可能性について検討した。 低タンパク質食を14日間給餌したラットから血液および白色脂肪組織を採取し、血中アディポネクチン濃度、白色脂肪組織のアディポネクチンmRNA量およびタンパク質量を測定した。その結果、低タンパク質食給餌によって起こる血中アディポネクチン量の増加は、特に高分子量アディポネクチンの増加によることがわかった。また、白色脂肪組織中のアディポネクチン mRNA量およびタンパク質量は、低タンパク質食給餌によって変化しなかった。 さらに、常法に従って分化させた3T3-L1脂肪細胞を無血清培地で一晩培養後、必須アミノ酸含有培地と非含有培地で24~48時間培養し、培養液中および細胞内のアディポネクチン量を測定した。その結果、必須アミノ酸が欠乏すると、培養液中のアディポネクチン量は減少するが、細胞内アディポネクチン量は変化しなかった。 以上の結果から、低タンパク質食給餌による血中アディポネクチン濃度の増加は、脂肪細胞での合成促進によって起こるのではなく、脂肪細胞からの分泌促進もしくは血中での分解抑制によって起こると考えられた。さらに、これらは利用できる必須アミノ酸の低下を脂肪細胞が直接感知して起こるのではないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、研究は進んでいる。低タンパク質食摂食によるアディポネクチンの血中濃度の増加が、脂肪細胞での合成促進によって起こるのではなく、脂肪細胞からの分泌促進もしくは血中での分解抑制によって起こること、これらは利用できる必須アミノ酸の低下を脂肪細胞が直接感知して起こるのではないことを明らかにすることができたので、一定の目標は達成できたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も当初の計画通りに進める予定である。 低タンパク質食給餌による血中アディポネクチン濃度の増加は、脂肪細胞からの分泌促進もしくは血中での分解抑制によって起こること、さらに、利用できる必須アミノ酸の低下を脂肪細胞が直接感知して起こるのではないことが明らかになった。 今後は、低タンパク質食摂食による血中アディポネクチン分解抑制メカニズムの解析を行う。また、低タンパク質食給餌によって起こる肝臓の脂質蓄積量の増加が、間接的に血中アディポネクチン濃度の増加に関わっていないか、主として内分泌系の関与の可能性を検討する。さらに、アディポネクチン欠損マウスに低タンパク質食を給餌した際の糖・脂質代謝を解析し、低タンパク質栄養状態に応答したアディポネクチン増加の生理的意義の解明を目指す。
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