研究概要 |
1.褐藻クロメ抽出物について、抗アレルギー効果を確認した。その結果、肥満細胞からのヒスタミン放出や炎症に関わる酵素活性を阻害した。また、マウス耳介浮腫による抗炎症効果の評価では、抽出液を耳介に塗布した場合だけでなく、経口投与した場合にも抗炎症効果が認められたので、クロメが抗アレルギー食品素材となりうる可能性が示唆された。(Food Agric. Immunol., in press) 2.フロロタンニン4種(eckol、8,8'-bieckol、phlorofucofuroeckol(PFF)-A、PFF-B)について、マウス耳介浮腫により抗炎症効果を評価したところ、有効性が認められた。本成果は、動物実験によるフロロタンニンの抗炎症効果を示した初めての知見である。(J. Funct. Foods, 5(4), 2019-2023, 2014) 3.褐藻サガラメの脂溶性画分に含まれる抗アレルギー物質の探索では、リポキシゲナーゼ活性阻害を指標に分離分画を進めたところ、クロロフォルム可溶性成分から3種単離できた。また、サガラメ脂溶性画分には、メタノール可溶性の有効成分も含まれていることが示唆された。 4.Caco-2細胞による腸管透過試験では、褐藻(クロメ、サガラメ、ツルアラメ)抽出物に含まれるポリフェノールが2~5%程度透過することが確認された。また、フロロタンニンのeckolおよび8,8'-bieckolでは、概ね20%程度の透過が確認され、8,8'-bieckolは透過するときに単量体のeckolに代謝されている可能性が示唆された。
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