ブナ林の高木性の主要構成樹種であるブナ、ハウチワカエデ、イタヤカエデの稚樹群集の動態を解析した結果、三樹種全てにおいて台風撹乱の認められなかった期間に加入率が高くなった。このことから、台風撹乱の有無が稚樹サイズへの加入に影響を及ぼしていることが示唆された。コシアブラのマイクロサテライト遺伝マーカーを開発して集団内に弱い遺伝的構造を検出し、ギャップ形成にともなう遺伝的構造化が示唆された。集団内の雄性繁殖量の変異性と空間構造を同時に考慮に入れたシュミレーションモデルを構築して解析し、好適な光環境が繁殖個体の繁殖量の空間的なバラツキを増大させ、樹木集団の遺伝資源量の変動に影響を及ぼすことを示した。
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