研究課題
若手研究(B)
本研究は、ツキノワグマの食性の個体差を解明し、その個体の属性(性や齢)や家系が及ぼす影響を評価することを目的とする。最近の研究により単独性の大型哺乳類にも、群れ性の哺乳類と同じく属性による食性の個体差が存在し、それが生存率や繁殖状況、行動パターンに影響することが示唆されている。しかし、実際のデータによる裏付けがほとんどない。本研究では、ツキノワグマの長期プロジェクトの中で蓄積された個体情報をもとに、リアルタイムに位置情報が入手できるGPS首輪の装着個体を選定し、利用場所の踏査により具体的な食性を連続的に解明・個体間で比較解析することで、ツキノワグマの食性の個体差の実態を解明する。本年度は計9個体にGPS首輪を装着することに成功し、追跡調査中である。また、そのうち夏季を中心に集中利用域の踏査を行い糞を継続的に採取することができた。また、直接観察法によりこれまで課題の多かった春季の食性の解明に努めるとともに、個体差についても検討を行った。
2: おおむね順調に進展している
本年度は調査地で、ツキノワグマを生体捕獲し、イリジウム衛星を用いた衛星通信方式GPS首輪を装着することができた。装着個体は、これまでの個体情報(性・齢・家系)を考慮して選定しすることができた。追跡個体の行動場所をリアルタイムで把握することが可能なため、活動期間を通じて、出来る限り新鮮な糞の採取を試みることができた。本調査地の特性を生かし、直接観察法による食性調査を実施した。
引き続き、ツキノワグマの捕獲・追跡調査を行うとともに、追跡個体の行動場所を調査し、出来る限り新鮮な糞の採取を試みるとともに、その環境についても解析を行う。そして、それらの糞内容物や環境のを個体間で比較する。また、これまでのデータを用いた解析も実施する。
ツキノワグマの捕獲作業が予想より少なく、現地調査の頻度も少なくなったため。引き続き捕獲調査を実施し、予定通りの現地調査を行う予定。
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哺乳類科学
巻: 54 ページ: 19-31
http://dx.doi.org/10.11238/mammalianscience.54.19
http://www.tuat.ac.jp/~for-bio/top_bear.html