熱帯林の土壌から放出される二酸化炭素(土壌呼吸)は地球規模の炭素収支の重要な構成要素であるが、土壌呼吸に変動をもたらす環境要因、特に生物要因の理解が遅れている。本研究では、熱帯林に高密度に生息するシロアリとアリの巣に着目し、土壌呼吸の変動との関係について明らかにすることを目的とした。タイ東北部の熱帯林で調査を行った結果、キノコシロアリの大型巣では、巣の周囲で局所的に非常に大きな変動をもたらしていることがわかった。また、主要なシロアリとアリ種にについて解析したところ、熱帯林の土壌呼吸にこれまで考えられていたよりも遙かに大きい変動をもたらしていることも明らかになってきた。
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