本研究では、東北地方の湿地の堆積物からスギ花粉化石を採集し、DNAを増幅して、これを現生のスギ天然林集団のDNAと比較することを試みた。花粉化石からのDNA増幅に使用する葉緑体マイクロサテライトマーカー17座の遺伝的多様性は十分に高く、花粉DNA分析に使用できることが明らかになった。また、これらの葉緑体マーカーを使用して、青森県八甲田山の湿地に隣接する2つのスギ孤立林では、伏条更新によって生じた同一クローンに由来する幹が多数分布することが明らかになった。しかし、湿地から採集した堆積物から、DNAの増幅は見られなかった。堆積物からのDNAの抽出方法を改良する必要があると考えられた。
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