研究課題/領域番号 |
25850118
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
田原 恒 独立行政法人森林総合研究所, 生物工学研究領域, 主任研究員 (70445740)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Eucalyptus camaldulensis / フトモモ科樹木 / 酸性土壌 / アルミニウム耐性機構 / ストレス応答 / エノテインB / 加水分解性タンニン / ポリフェノール |
研究概要 |
ユーカリ(Eucalyptus camaldulensis)は、強酸性土壌で問題となるアルミニウム過剰害に強い耐性を示す。ユーカリのアルミニウム耐性機構を解明し、応用することで強酸性土壌における植物の生産性向上に貢献できる。我々は、新しいアルミニウム無害化物質として、ユーカリの根から加水分解性タンニンの一種Oenothein Bを見出している。本研究は、Oenothein Bがユーカリの強力なアルミニウム耐性に寄与していることを検証することを目的とする。 Eucalyptus属樹木2種(E. pellita、E. argophloia)およびアルミニウム感受性樹木2種(Melaleuca bracteata、Populus nigra)においてOenothein Bの有無を分析したところ、Eucalyptus属の2樹種の根からはOenothein Bが検出されたが、アルミニウム感受性の2樹種からはOenothein Bが検出されなかった。上述の5樹種でOenothein B含有量とアルミニウム耐性の関係を調べたところ、正の相関が存在した。Oenothein Bは、根でそのほとんどがシンプラスト(細胞膜の内側)に分布することが分かっている。Oenothein Bが根でアルミニウムと特異的に結合しているのか、他の金属とも結合しているのかを明らかにするために、シンプラストの金属組成を模した金属溶液にOenothein Bを添加した。Oenothein Bと結合した金属の9割はアルミニウムだったことから、Oenothein Bはアルミニウムと優先的に結合することが示唆された。以上の結果から、Oenothein Bが根内でアルミニウムと結合して無害化することでユーカリのアルミニウム耐性に寄与していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、(1)Oenothein B含有量が異なるユーカリ3種を含む5樹種のAl耐性を比較し、(2)Oenothein Bが根のシンプラストの金属の中でアルミニウムと優先的に結合することを示唆するデータを得たことから「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り、(3)根におけるAlとOenothein Bの分布を明らかにし、(4)加水分解性タンニンの生合成の酵素遺伝子候補を探索する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験室がある建物の耐震工事があったため、3か月間(H26年1月~3月)実験室ができず、H25年度に予定していたNMR分析の一部が行えなかった。 H26年度にH25年度に行えなかった分の分析も行う。
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