研究課題/領域番号 |
25850124
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
高田 直樹 独立行政法人森林総合研究所, 森林バイオ研究センター, 主任研究員 (90605544)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 組織構造 / 二次壁 / 表層微小管 / ライブセルイメージング |
研究実績の概要 |
本研究は、木部細胞の二次壁堆積過程においてセルロースミクロフィブリルおよび表層微小管の配向を制御する細胞内分子機構の解明を最終目標としている。本年度は、(1)改変型ポプラ形質転換体を用いた木繊維細胞の表層微小管の可視化の試み、(2)表層微小管の配向を制御する新規因子の探索を行った。 (1)では、これまでに木繊維で高活性が見られる二次壁特異的プロモーター(PttCesA8B promoter)を利用し、改変型ポプラ形質転換体(PttCesA8Bpro::GFP-AtTUA6, PttCesA8Bpro::GFP-AtTUB6)を作出してきた。本年度は、新たに作出した形質転換体の幹を用い、木部細胞でのGFP蛍光の観察を試みた。その結果、木繊維細胞ではGFP標識したチューブリンタンパク質(TUA6及びTUB6)は細胞質にプールされており、表層微小管に取り込まれていなかった。この結果は、木繊維細胞の表層微小管を蛍光タンパク質で標識するためには、TUA6やTUB6とは異なる標識タンパク質を用いる必要があることを示している。 (2)では、微小管配向を制御する新規転写因子の探索を行った。その結果、表層微小管の平行性と密度を制御する2遺伝子を同定した。さらに、これら2遺伝子は木部組織で高発現することから、木部分化の過程で表層微小管の空間構造を制御すると推察される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
表層微小管の配向を制御する新規因子の探索に関しては、これまでに表層微小管の空間構造を制御する2転写因子を同定しており、当初の予定以上に研究が進捗している。今後は、同定した2遺伝子の機能解析を進めていく予定である。 木繊維細胞での表層微小管のライブセルイメージング技術の開発は、当初の計画より遅れている。その原因として、構成発現プロモーターに連結したGFP-AtTUA6およびGFP-AtTUB6が木繊維において十分に発現していないこと、改変型ポプラ形質転換体(PttCesA8Bpro::GFP-AtTUA6, PttCesA8Bpro::GFP-AtTUB6)ではGFP標識したチューブリンタンパク質(TUA6及びTUB6)が細胞質にプールしてしまうことがあげられる。この問題を解決するために、今後はプロモーターと微小管標識タンパク質の組み合わせをさらに改変していく必要がある。具体的には、二次壁特異的プロモーター(PttCesA8B promoter)にMAP4(Microtubule associated protein 4)-GFPを連結した遺伝子コンストラクトを作成し、新たなポプラ形質転換体を作出していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
木繊維細胞での表層微小管の観察方法を開発するために、二次壁特異的プロモーター(PttCesA8B promoter)にMAP4(Microtubule associated protein 4)-GFPを連結した遺伝子コンストラクトを作成し、新たなポプラ形質転換体を作出する。 表層微小管の配向を制御する新規因子の探索については、同定した2遺伝子の機能解析を進める。
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