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2013 年度 実施状況報告書

サケ科魚癌ウイルスによる発癌・肝炎の病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 25850132
研究種目

若手研究(B)

研究機関北海道大学

研究代表者

笠井 久会  北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 准教授 (50399995)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード魚類ウイルス / ヘルペスウイルス / 腫瘍
研究概要

サケ科魚類に感染して肝炎と基底細胞癌を引き起こすOMV (Oncorhynchus masou virus; SaHV-2) を対象に,申請者が明らかにした全ゲノム情報をもとに感染魚における包括的高感度遺伝子発現解析を展開し,宿主の発癌誘起機構を解明することを目的とする。OMV はアロヘルペスウイルス科のウイルスで,魚類で初めて発見された癌ウイルスである。このウイルスは1978年に分離されて以来,わが国の増養殖現場で猛威を振ってきた。病気に強いシロサケに高い死亡率を示す唯一のウイルスであり,本ウイルスによる病原機構の解明は,サケ科魚類の増養殖における安定的生産に必須である。
本年度は,サケ科魚ヘルペスウイルスOMVに感染し瀕死となったニジマスの病理観察および血液検査を行った。その肝臓で広範囲にわたる肝細胞の壊死を認めた個体において,肝機能障害の指標として用いられているGOTとGPTの上昇や,肝臓で合成されているHDLコレステロールや総コレステロールの減少が,健全個体に比し有意に生じており,ウイルス感染に起因する肝炎が血清化学成分値に影響を与えることを明らかにした。さらに,腎臓では核変性および細胞質の崩壊を認めた個体の血液では,腎機能障害の指標である尿素窒素の値が増加することを示した。加えて,鰓から吸収されるカルシウムおよびマグネシウムの濃度が血液中で減少していたことから,OMV感染では,腎機能障害に加えて鰓機能障害も起きている可能性を示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

OMV感染耐過後,腫瘍が発現するまでに,魚種によって4~7ヶ月を要する。OMVサクラマス分離株,ギンザケ分離株およびニジマス分離株を用いてニジマスの感染試験を行い,感染耐過魚の作出に成功し,腫瘍形成に至るまで飼育を継続中である。平成26年次以降に予定していた肝炎の病態解明について先に取り組み,OMV感染や発病が魚類の血清化学成分値に与える影響について,病理組織学的な視点と合わせて検証した。

今後の研究の推進方策

感染耐過魚に発現する腫瘍を対象に,包括的高感度遺伝子発現解析を実施する。

次年度の研究費の使用計画

前年度3月に納品になった消耗品の支払いに充てる。
前年度3月に納品になった消耗品の支払いに充てる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] サケ科魚ヘルペスウイルスOncorhynchus masou virus (OMV) の全ゲノム解析2013

    • 著者名/発表者名
      笠井久会・吉水 守
    • 学会等名
      第7回サケ学研究会
    • 発表場所
      北海道大学札幌キャンパス(北海道札幌市)
    • 年月日
      20131222-20131222
  • [図書] 魚介類の微生物感染症の治療と予防2013

    • 著者名/発表者名
      笠井久会
    • 総ページ数
      504(276-283)
    • 出版者
      恒星社厚生閣

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公開日: 2015-05-28  

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